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クルーシブルのchaooonのレビュー・感想・評価

クルーシブル(1996年製作の映画)
3.8
NTLive版の予習として鑑賞。

1692年に実際に起きたセイラム魔女裁判を題材としたアーサー・ミラーの戯曲『るつぼ(原題:The Crucible)』を原作とした映画化🧙‍♀️
実際の事件に、実在の人物が一部登場するがあくまで物語は創作とのこと🤔

セイラム魔女裁判を描きながら戯曲が書かれた当時の時代背景もあり、赤狩りとマッカーシズムに対しての批判がこめられていると言われる作品。

映画版の脚本もミラー本人が務める📕
監督はNTLiveの演出でもお馴染みのニコラス・ハイトナー!
映画監督もやってたのか🎥

少女たちの戯れ、他愛ない言動から村や州を巻き込む魔女裁判に発展していく、集団心理の怖さや人間の尊厳の在りどころを描いた作品。

これは怖い😨
何が怖いって、少女たちの嘘を大人たちが大して精査もせず鵜呑みにし、逮捕や裁判、処刑にまであれよあれよという間に発展してしまう事態。
しかも悪魔との関係を認めれば罪が許され、拒否し続けると最悪処刑なの?どうしてそういう流れになるのだろうか??
そうなるとみんな嘘でも悪魔を見た、とか、隣のうちの誰々さんが悪魔だ、とか嘘が嘘を呼ぶ悪循環。
大人たちは更に、この事態に乗じて私欲を振りかざす汚い部分も垣間見る。

少女たちも自分達がついた嘘に真実味を持たせるために、演技が過剰になっていくし、一種の集団ヒステリーまで起きてるけど、結果それが多くの人の命を奪っていくことに罪悪感はないのだろうか…。
でも元を辿ればあり触れた、ごく個人的な欲望。
それが引き起こした混沌はとんでもない規模にまで膨れ上がっていき、もう後には引けない状況まで村全体を飲み込んでいく様は見てられない…。
でも面白い…。

少女たちの中心となるアビゲイル役には美しく可憐な時代のウィノナ・ライダー💖
一途で歪んだ愛情を示していく感じは危うくて、魔性❤️
彼女が恋心を寄せ、村での信頼も厚いジョン・プロクター役はダニエル・デイ=ルイス。
この2人の並びにはうっとりしちゃいますね✨

終盤に向けてはダニエルの独断場。
信仰心と自らの尊厳、命、それらを天秤にかける。
思考を停止し、流れに身を任せれば楽になれる。
生きていく上では多かれ少なかれ必要な処世術だが、それにより自分自身を失うことは生きていると言えるのだろうか。
そんなことを叩きつけるようなラストは凄かった。
ダニエルに引き込まれたわ…。
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