なべ

大頭脳のなべのレビュー・感想・評価

大頭脳(1968年製作の映画)
3.0
 ジャン=ポール・ベルモンド傑作選。なつかしー!でも思ってたより雑〜w

 今の感覚からすると内容的にはイマイチ。いや、大頭脳はもっとおもしろかったはずなんだけど、それってテレビの洋画劇場で観た記憶なんだよね。ほら吹替で2時間の枠に収めるためにあちこちカットしてるバージョン。
 本来はカットされた映画なんて評価の対象外なんだけど、往年のアクション映画なんかは間延びしたところをうまく切り貼りしてて、逆にテンポよく仕上がってたりするから侮れない。本作もそのひとつで、洋画劇場版の方が圧倒的におもしろい。Wikiでは山田康夫と大塚周夫ではなかったけど、記憶の中では2人の声が軽快で楽しかった思い出。
 とはいえ、スクリーンで若き日のジャン=ポール・ベルモンドやイーライ・ウォラック、デビッド・ニーヴンを観られるというのは、それはもうありがたく、ウキウキ・ワクワクの100分でした。

 新宿武蔵野館はシートが柔らかくて背中が痛くなる(しかもやや狭い)のと、前の人の頭が邪魔になる劇場。スクリーンも小さめでお世辞にもいい施設とはいい難い。それなのに満席。満席て! 観客の年齢層もかなり高く、ジジババの熱気で少し暑かったくらい。
 が、作品を知っているという驕りがそうさせるのか、笑えるシーンで先んじて大声で笑うという下衆なジジイがそこかしこにいた。歳とともに反応速度は鈍化しているはずなのに、笑うタイミングでマウントを取ろうとする浅ましさに、こちらは白けちゃう。ほんと勘弁してほしい。そこは先輩として悠然と構えてて欲しい。
 劇場での笑いはみんなのもの。共有された笑いは劇場を揺るがすほどの力を持っているけど、スタンドプレーの笑いはみんなの笑顔を奪う行為。アニメ映画のリピーターオタクや韓国映画ファンのおばちゃんなんかもそうだけど、傲慢な笑いは周りに伝わってるからね。
 傑作選はまだまだ続くが、さすがに全部は観られない。新文芸坐あたりで3本立てオールナイトで一気見したいが、ここは地道に吟味して観ていこう。

以下、告知。
11月にカーペンターの「遊星からの物体X」が国内最終上映。まだ観たことない人、劇場で観たことのない人はぜひ。ぼくも見届けます。これが劇場で物体Xを観る最後の機会です。
http://www.boid-s.com/6547
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