佐藤克巳

若い人の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

若い人(1937年製作の映画)
5.0
石坂洋次郎の文壇デヴュー作で、弘前の高等女学校教員での経験を踏まえた思春期物問題作で大ベストセラーを、豊田四郎が、盟友大日向傳を間崎慎太郎の主演に抜擢し、検閲を考慮して江波恵子の市川春代より、橋本スミの夏川静江に力点を置き、二人が教育論を闘わせ、恋愛と教師の職務の在り方を問うリアルな文芸映画の傑作とした。どうしても石原裕次郎の「若い人」との比較になりがちで、吉永小百合の江波恵子に対しての見劣り感は否めないが、ミッション系寄宿舎の女学校の描写や修学旅行、函館情緒も素晴らしく、同僚の教師山口勇の好演が印象に残る。また、音声状態が悪くもっと改善されたソフトで観るべきだったと反省しきり。
佐藤克巳

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