とむ

点のとむのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
3.8
半年くらい前に中学の同窓会があったんですよね。
中学生の頃、自分は眼鏡かけてて、
頭も床屋で切りっぱなしみたいな感じだったんですけど、
今はコンタクトにしてるし、髪も美容室で切るようになりました。

それから時間も経って、久々に会う同級生たちはみんな微妙に印象が変わってて。
気のいいお調子者はチンピラみたいな見た目になってるし、
ちょっと男遊びの激しそうな奴は案の定化粧のケバいキャバ嬢みたいな見た目になってたり。

でも話してみるとみんな驚くほど当時のまんまな喋り方や関係性なんですよね。
チンピラみたいになってるけどやっぱそいつは気のいいやつで、
キャバ嬢はやっぱ「うわとみたいじゃん!」みたいに気さくに話しかけてきたりして。

でも大人しかったクラスメートの女子が
妙に色っぽくなってるなーと思ったら婚約したって聞いたりして、
なんか変にドキッとしたり。

そういう、ある種の戸惑いを表現したような短編だったなーと。


バウムクーヘン食べてるの見て「その食べ方してたよね」とか、
微妙に部活について覚え違いしてたりとか、
呼び方についてちょっと迷ったりとか、
覚えてる?って言われた人の名前内心わかんなかったりするのを誤魔化したりとか。

前述した同窓会でまさにあったようなやりとりなんですよね。
微妙な距離感の雰囲気が絶妙な感じ。


ちょっとした昔の二人の関係の事実が浮かび上がるところとか、変にスリリングに見えたりして。
なんでこの二人は別れたんだろうな、とか。
ちょっと切ない感じがとても良いと思います。
「南瓜とマヨネーズ」みたいな。


最後のエンドロールで流れる写真のラッシュもすごく良くて、
あ、バウムクーヘン結局少し齧っただけでやめたんだなぁとか、
あ、やっぱり彼女は写真部だったのかな?とか、
そういう想像を膨らませる余白のある演出だったなぁと思います。


爽やかな余韻の残る作品だなーという印象で、
今、僕が抱えている苦味しかない人間関係も、
いつの日かこんな風に爽やかな苦味に変わる日が来るのかなぁ、なんてノスタルジーに浸れる作品でした。
かなり好きです。


ただ、エンディングの曲はちょっと違うかな…。
とむ

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