うたまるさん

V.I.P. 修羅の獣たちのうたまるさんのレビュー・感想・評価

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)
4.1
ハラハラドキドキしっぱなしの128分!
サイコキラーが怖すぎる傑作。

2018年の韓国映画です。

ストーリーはあえて書きませんが、久しぶりにゾクゾクと鳥肌が立つ映画でした。

まず目を見張るのは若手イケメン俳優のイ・ジョンソク。
韓国映画は忖度なしにどんなイケメンもサイコパスとして起用しますよね。その潔さにあっぱれです。
このゾクゾク感は、三池崇史監督の十三人の刺客で狂気のお殿様を演じた稲垣吾郎を見たときに匹敵しますね。
そんなイ・ジョンソクが演じた北朝鮮高官の息子キム・ガンイルが冷酷かつ残忍で、彼を捕まえようとする者たちをことごとく粛清してしまう怖さがたまらない。これぞVIPの力か!?

さらに、最初からずーっと主役かと思っていたキム・ミョンミンやパク・ヒスンを最後にぶっちぎり、主人公でフィニッシュしたチャン・ドンゴンのカッコよさもかなりググっとくる!
まあ、キム・ミョンミンが絶対主人公と思っていたからこそ、その展開は驚きでしかなかった。

ここで、私が感じたこの作品のストーリー上の凄さを披露しますと、
まず、テーマとなっている「企画亡命者」については、こんなにもあからさまに韓国では国家情報院とアメリカのCIAの関係性を映画にできちゃうんだ!と感心。日本の映画では日本国内のCIAのことをとり上げることはタブーですからね。
そして、もう一つは北朝鮮の実質的№2として存在していたチャン・ソンテクの名前や金正日、金正恩などの固有名詞をそのままガンガン言ってしまうこと。
これも邦画だったらありえないことですよね…。
こんなことしたら、それぞれの国から非難を受けて上映中止は間違いないと思いますが、韓国映画は時事問題や国際政治、さらに韓国を震撼させた連続殺人事件もしっかりと映画のテーマにしちゃいます。
そう考えると、日本はつくづく弱腰ですよね。オウム真理教や麻原死刑囚のことや秋葉原事件、宮崎勉事件などのことは絶対に映画やドラマで検証できないですものね。まあ、取り上げるにしてもかなりデリケートな問題ですが、国民がきっと残酷なニュースを直視できない社会になっていることも映画ネタにできない理由なんでしょうね。大久保清は取り上げたのに…。

おっと、脱線しちゃいましたが、今回のCIA役を演じたピーター・ストーメアーといえば、何といってもプリズン・ブレイクですね。思わず「おー!」と唸ってしまいましたよ(笑)

と、まあそうそうたるメンツをまとめ上げたのは「悪魔を見た」や「新しき世界」を撮ったパク・フンジョン監督。
うんうん、確かに間違いない。
ここには説明していないが、脇役の人たちもしっかりと演じていて、韓国映画に付き物の対立軸がしっかりと作られているところが見ていてとてもわかりやすい。

まあ、先述したキム・ガンイルの怖さは万人にオススメできないが、あり程度の怖さも我慢できる人にとっては必見の価値あり!
オススメの作品です!
うたまるさん

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