チッコーネ

V.I.P. 修羅の獣たちのチッコーネのレビュー・感想・評価

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)
4.5
久々にドシンと来た韓国映画。
サスペンスにサイコホラー要素をプラスした作風が面白い…、また敵国・北朝鮮との関係が巧みに織り込まれ、韓国にしか撮れないスリリングな内容に仕上げられている。
「中央集権国家の中枢付近にサイコパスの鬼っ子が生まれた時、親世代が矯正でなく隠蔽/放任を採用したらどうなるか」という妄想に感嘆すると同時に、背筋もゾクゾク。
また自国のセクト主義や、アメリカとの関係もシニカルに取り入れられていた。
さすが脚本家出身の監督。
多角的で面白い脚本の映画を観ていると、撮影云々があまり気にならなくなって物語に没入してしまうわと、改めて。

役者陣をフル活用する演出も、冷徹だ。
特に冒頭の異常な拷問場面は凄まじく、久しぶりにドン退き。
興行成績に悪影響を及ぼしたほどのインパクトが、作品を非凡の域へ押し上げるに貢献したのは確かだ…、現場では殺る方も殺られる方も本当に大変であったろうなと、頭が下がる。
また役者の中ではキム・ミョンミンが殺伐とした顔つきに豹変しており、後半まではまるで別人のようだった。