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はじめてのおもてなしのodyssのレビュー・感想・評価

はじめてのおもてなし(2016年製作の映画)
3.5
【難民による癒やし】

多数の難民がおしかけているヨーロッパ。その中でも経済大国だというのでドイツは難民の受け皿みたいになっており、なかなか大変なよう。

この映画はそのドイツを舞台にして、難民の青年をひとり受け入れることにした家族の様子を描いています。

難民には色々な問題がつきまとっており、この映画もそれを無視してはいませんが(例えば、難民は警察に監視されるとか、難民の中にはテロリストが紛れ込んでいる場合もあるとか)、受け入れるドイツ人家族の家族模様をしっかりと押さえた上で難民青年とのあれこれを描いているところが優れていると言えましょう。

難民はなるほど大変なんですが、経済大国に暮らすドイツ人だってそれぞれに悩みを抱えている。全然環境の違う場所で育った人間同士の関わりから、何か新しいものが生まれることもある。この映画はそういうコンセプトで作られています。

大づかみに言うなら、アメリカ映画で「都会人vs田舎者」という構図の作品が結構あり、だいたいが田舎者の勝利に終わるというパターンを想起させる。或いは、『アルプスの少女』で田舎育ちのハイジが都会に暮らす裕福な家族にとって一種の癒やしとなる、そんな感じかな。

難民はかわいそう、という同情心モロ出しの映画よりいいとは思います。でも、それだけで難民問題が解決するわけじゃない。なんて言うのは野暮かな。
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