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ジョニーは行方不明/台北暮色のslowのレビュー・感想・評価

4.8
何年も前に見た夢を、今この街は見ているのだろう。同じ夢の中にいながら、擦れ違い続ける覚えのない顔と懐かしい声は、馴染みの友のようであり、見知らぬ旅人のようでもある。リアリズムが語るおとぎ話に存在する、青鈍と唐紅が落ち合う暮色蒼然の景色と、それを横切る鳥たちの姿。それはわたしなりの抵抗と、ここにいない人への想いを行き来する、わたし自身の姿だったろうか。

物語にて描かれる人々の吐くため息に何度助けられて来ただろう。ここにもまた、言葉を必要としない、その瞬間があった。
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