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ジョニーは行方不明/台北暮色のHELLOPANDABOOKのレビュー・感想・評価

3.6
エンドロールに入る暮れゆく台北のハイウェイ。高架。渋滞。衰退か、退廃か、進化と成長か。2018年のどんどん変わっていくこの街の音やせわしなさをフレームに入れている。とろくさい車生活する主人公のひとり。すぐにエンスト、渋滞をつくる。言葉も足らない。足らすことを必要としていない。記憶出来ない主人公の別のひとり。美しく健康的なフィジカルをもてあましても孤独な主人公のまた別のひとり。それらは、激変する街の中で、それくらい孤独にゆったり、日々を実感して生きてもいいんじゃないか、ってことかな。セリフも少ない、内容のない映画だったが、台湾に行きたくなる映画で、さらには夜気がすこぶる良い。エドワードヤンだろうが、どの監督が撮ってもこのような夜気になるのか。それが台湾の夏なのか。いよいよ行かなくちゃだ。行ったならこの映画の、なんの変哲もない台北の路地や高架下や軒並みをたくさん絵にしたい。台北の今の、地に足についた生活臭がプンプンする映画で、個人的にロケハンの宝庫な映画だった。この映画のおかげか、初めて鳥が可愛いと思えたよ。主人公のひとりの女優さんは新人なのかわからないけど、とても魅力的だった。ただのギャルじゃない、奥行きと壊れそうで壊れない力があった。夏の台北、待ってろ、台北。この際、1年くらい、夏がまた来るまで住んでもいいくらい。あと、この監督と、ホウ・シャオシェン監督の他の台湾映画もディグっていかないとだな。今は亡きエドワードヤン監督といい、台湾映画界はすてきだな。
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