ほぼ毎日おひとり様

MOST BEAUTIFUL ISLAND モースト・ビューティフル・アイランドのほぼ毎日おひとり様のレビュー・感想・評価

3.3
この映画を観よう、と思ったのは、シネマカリテでこそっとチラシが置いてあったからでした。

レイトショーのみの、期間限定上映でしたが、ニューヨークに住んだことのある身として、「こんなことあってもおかしくない!」と強く惹かれて観に行きました。

この映画の監督さんが、実際に体験させられた話を映画化したというから、ますます確信しましたよ。

モラルや法規制が欠如した大都市にそれなりの人が集まると、ほんの一握りの金持ちが絶大な特権を奪い、底辺の裾野が広いゴリゴリのヒエラルキーな社会になってしまいます。

そうなると、金持ちは、金では買えない「いかに人より凄い体験の場に選ばれて参加したか」でマウントを取り合うようになります。

その体験を提供する裾野の人たちは、毎日何千と大都市に流入するので、こういう映画で描かれる狂宴が、いとも簡単に、まことしやかに行われます。

バイトの口が空いて、「知人の知人」からおいしいバイトを紹介されるという、まさにオレオレ詐欺の末端の受け子のようなシチュエーションと、ドキュメンタリータッチで、生々しく現実に迫る手腕は見事です。

「セクシー」がコンセプトなのに、そのコーディネートやお化粧の濃さ、スカートの丈からして、経済的な欠落を必死で補う感が満載。

1人、また1人と、見えない観客の餌食にされていく演出は、既視感があるものの、本人しか味わっていない恐怖が伝わってきました。

もしかしたら、後からネットで観ても、なーんだ、で終わってしまうかもしれませんが、そう感じた時には、刺激が足りず、すでに危険察知や他人への思いやりなどの感覚が麻痺しているかもしれませんね。

隙がある時ほど、配られるカードは多くなります。実際にめくってしまうかどうかは、あなた次第です。

ちなみに、こんなどこよりも美しいシマがあっても、もう行きません。