千年女優

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームの千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
『エンドゲーム』で五年に渡って消滅していた命を取り戻すも代償としてアイアンマンらを失った世界で、喪失感の払拭求めて後継者を求める世論の重圧に苛まれるスパイダーマン。親友や気になる女子MJと共に高校生ピーターとして欧州研修旅行へ向かった彼が、ヒーローの宿命か再び騒動に巻き込まれる様を描くMCUフェーズ3ラスト作です。

世界興行収入を塗り替える歴史的大ヒットとなった『エンドゲーム』を経ての一作は、スケールの大きい巨悪とはまた異なる、特殊映像効果のヒーロー映画万歳の今だからこそのヴィラン&バトル設定が巧みで流石と唸らされる一作で、世界各地を舞台にした、軽やかなアクションと青春コメディ要素といったスパイダーマンらしさも健在です。

物語中、ピーターにしろヴィランにしろその行動原理がやや利己的に過ぎて停滞感や小ぶりさを感じる面もありますが、ヒーローだって完全無欠の英雄ではないとするテーマは反証をきっちりと取り込むMCUのクオリティの高さを表していて、次フェイズでの成長に乞うご期待と、観客にもあった喪失感をワクワク感へ転換してくれる一作です。
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