ヨッシー

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのヨッシーのレビュー・感想・評価

4.8
『アイアンマンからスパイダーマンへ。MCU新時代の幕開け!』

マーベルコミックのスーパーヒーロー『スパイダーマン』のマーベル・シネマティック・ユニバースによる新シリーズ第2弾。

仲間たちと共に夏休み旅行でヨーロッパを訪れたピーターの元に突如ニック・フューリーが現れ、別の世界から来たと言う謎の脅威との戦いに巻き込まれていく。

監督は前作に引き続きジョン・ワッツ。
出演はトム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ジェイク・ギレンホールなど。

3D字幕版、ドルビーシネマの3D字幕版、吹き替え2Dの計3回鑑賞。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で始まり、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で最高潮に達しているMCUフェイズ3のトリを務める今回の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。
今回は『エンドゲーム』からそのまま続く物語ではあるが、一応『エンドゲーム』で起きた重要な変化はちゃんと説明してくれるので観てなくてもたぶん問題はない。

前作『ホームカミング 』はまだ新米ヒーローだったスパイダーマンが背伸びしてアイアンマンになろうとした結果失敗して怒られ、それを挽回することで1歩成長し、まずは“親愛なる隣人”としてみじかなヒーローとして頑張るところから始めるという程よい着地で終わった作品だった。
しかし、そんな矢先に『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』という銀河規模のスケールの戦いに巻き込まれて、目標だったアイアンマンことトニー・スタークを失うことになった。

そんな『エンドゲーム』での出来事を経ての今回の『ファー・フロム・ホーム』。
トニーの事を少し忘れたいぴーたーが友達と夏休み旅行を思う存分エンジョイしようとするが、ニック・フューリーに見事に邪魔をされるのが今回の話。
今回のニック・フューリーはまるで休暇中の部下に有無も言わせず仕事をさせようとするブラック企業のパワハラ上司といった感じで、旅行を楽しみたいピーター・パーカーとしての自分とアベンジャーズ不在で次のアイアンマンと呼ぶ周りからの期待に応えようと戦うスパイダーマンとしての自分との間の葛藤が描けれる。

それとは対照的なのが今回の新キャラクターであるジェイク・ギレンホール演じるミステリオ。
彼に関しては何言ってもネタバレになるのでここでは割愛するが、ある意味ではこのキャラクターもMCU22作品の積み重ねがあったからこそできるキャラクターでもあり、MCUを見込んでる人ほどいろんな意味でハマるキャラクターでもある。一言で言えば最高。

こういったフューリーやミステリオなどの大人の怖さを知り成長するというのは前作に引き続きMCU版スパイダーマンの特徴であり、監督のジョン・ワッツの持ち味でもある。

今回も前作に引き続き青春映画描写はとても楽しく、ユニークなクラスメイトたちも健在。MJとの恋愛やネッドとまさかのバカップル化したベティや相変わらずのいい噛ませ役のフラッシュなどどのキャラも見ていて楽しい。

前作以上にスパイダーマンらしさも増していて、正体がバレるかバレないかサスペンスも増し、決戦ではスパイダーマン最大の能力を駆使して敵を倒し、なんといってもラストはあの『アベンジャーズ』第1作目の戦いの舞台であるニューヨークの高層ビルをスイングで駆け回るスパイダーマンで締めるシーンをようやく観れる。

本作では直接は登場しないがトニー・スタークの存在も大きな影響を与えていて、決戦直前にスーツを自ら製作するピーターや終盤にその場にある物で武器を作り上げるスパイダーマンを見て彼の意志がピーターに受け継がれているのを感じられる。そんなピーターを見るハッピーの姿がたまらなくグッとくる。

多少不満を言うと、前作に比べるとスパイダーマンスーツのガジェット的な面白味は少し薄れた感はある。カレンは登場せず、特に目新しい装備もなく、決戦用に作ったスーツもあんまり特別な装備はなかったので、そこはちょっと物足りなく感じる。

あと、『エンドゲーム』のエピローグ的な立ち位置という事でフェイズ3の最後の作品になっているんだと思うんだけど、『エンドゲーム』では語りきれなかったMCU世界の変化や混乱に関しては軽く説明された程度で流されてしまっているので、フェイズ3のラストが本当にこれで良かったのかはちょっと疑問。
個人的にはどちらかというとMCUの新時代の幕開けという印象の方が強いのでフェイズ4でも良かった気もする。

とは言え『エンドゲーム』の後というプレッシャーをあっさり乗り越えてみせた大満足の1本。
前作は少し予告で見せすぎだったのを反省してか、今回は予告編からは予測不能のストーリーに驚かされたし、ラストのラストまでサプライズがたっぷり。
今後のMCU、そしてトム・ホランド版スパイダーマンの活躍がますます楽しみになる傑作でした。
ヨッシー

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