シネマスナイパーF

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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あれは納得いかねえなと思って思い返すとやっぱちゃんとフォロー入ってたわと気づくとこが多い
少し強引だけど「大いなる力には、大いなる責任が伴う」と伝えたいフューリーの不器用さが沁みる


あれだけの大事があった後の世界だけど、雰囲気は明るくてよかった
でも魅力的なのは夜のシーン
プラハの夜、戦闘シーンはもちろん美しいが、ただ橋の上を少し歩くだけでもロマンチック
戦闘を誤魔化すための暗さではなく、映えさせるための暗さだった
お茶目な引率の先生方の視点に寄り添えば、ヨーロッパ観光映画として非常に楽しめる

ギレンホールのミステリオ、彼の存在感が凄くて、もっと彼を見ていたいと思わせる魅力があり、カリスマ性で言えばそれこそロバートダウニーJr.のスタークに匹敵するレベル
MCUで一番のヒロインはMJになったな
かわいい
ハッピーのかわいさも限界突破してきた!
ネッドも可愛いしMCUのスパイダーマンはみんなが可愛いね
キャラ立ちがいいので愛着が湧き楽しめる


次のアイアンマンになる話、というよりは、スパイダーマンとして自立する話だったな
ラストはおなじみの町でおなじみのアクションを見せてくれる着地だし
ちゃんとしたヴィランを登場させればそれだけで面白い話になるのは前作でも実証済み
今回のはエラく抽象的でどうでもいいヴィランだけどなんでやろな、と思ってたら案の定ですよ
とは言っても、またあいつに恨み持ったやつが相手かよ!!感は否めないし、結局それをピーターが尻拭い的に片付けるってのも変な感じはする
空虚な中心、不在ゆえの存在感という意味でテーマ的に必要だったのは分かる

前半のピーターは確かにヒーローだけど出来れば今だけはデカい面倒ごとに巻き込まないで欲しいっていうスタンスで、あくまで巻き込まれ役
だからこそ、ひとりの少年であると同時に背負っているものの重さを自覚しろというフューリーの思いが際立っていて、ピーターを大きくする
スタークも自分の弱さと責任の大きさのギャップに悩んでいた男だったし、財力こそ違えどピーターと同じDIYの男だった
そんな師弟を繋ぐ男が粋な計らいで流すあの曲は、曲の内容、そしてMCU上の文脈を読めばそら泣くし、ちょっと映画の外側の話をすれば、彼はアイアンマンを成功させたという功労者でもあるわけで、彼が流すということにも非常に大きな意義を感じる

ミステリオをニュースで見てスゲーというシーンでMJが「ニュースの全てが本当?」と言ったかと思えば、フラッシュくんの面白くなさそうな動画投稿で助かるところもある
結局は自分の力で見極め自分の道を切り拓いていかなければならないというヴィランからのメッセージは、彼の境遇と相まって説得力が強い
最後のアレは、彼がピーターを試しているともとれると思うというか僕は彼のキャラクター的にそう捉えました
市井の人々がスパイダーマンを信じるのか、今後見ものだな

アクション演出は、内面的な戦いのシーンではキャラクターの近くに、そうでないときは見やすいように少し引き目で全体を見やすく映すという非常にわかりやすくしかし上手いもので、場面のテンションに観客が合わせやすい
それでいて嬉しいサプライズサービスキャラクターで最後までピーターに試練を与え続けるこの脚本、いやいや、、隅々まで楽しめる…


スーパークールなミステリオ登場で大喜びさせてもらった後、まさに一般学生レベルの出来の追悼ビデオで笑わせてもらうオープニングのバランスで出来ているので安心して観れる
消えた人と残ってた人との間の5年のギャップもサクッと流す校内TV有能
観ている時はブラッドの扱いもうちょっとなんとかなんなかったかと思ったりしたけど、信用する人しない人、彼はしない人だったっていうだけの話だったのかな今思えば
実はピーター→MJじゃなくてMJ→ピーターだったのはちょっとロマンス的に都合良すぎだけど、青臭すぎるがゆえの地に足ついた可愛さがタマラン

隅から隅まで観客を楽しませ少しばかり考えさせる素晴らしいバランスの娯楽作
アベンジャーズロスをいとも簡単に吹き飛ばしたMCUは最早無敵
間違いない、傑作