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共犯者たちのmendeのレビュー・感想・評価

共犯者たち(2017年製作の映画)
3.9
保守系のイ・ミョンバクが政権を取ってからKBSやMBCの人事に介入が始まった。
理事会に圧力をかけて息のかかった人物(中にはイ・ミョンバクの元選対委員すらいる)を送りこんでくる。

NHKにも経営委員や会長に安倍前首相の「お友達」が送り込まれていたのを連想する。慰安婦の件でNHK番組改変問題なんかもあったし、NHKのキャスターの首が飛んだこともあった。
しかし韓国はより苛烈で、理事会の会議当日に抗議をする労組に対抗するためか、私服制服両方の大勢の警官を介入させている。
そして多数のプロデューサーや記者が解職され、なかには逮捕されるプロデューサーも。

韓国の右派政権は、軍事独裁政権のときに近い方法でマスコミを操作できると思っているのだろうか。公営放送の人事に介入するくらい独裁時代に比べればたいしたことないとでもいうような。

このドキュメンタリーの監督をつとめたチェ・スンホは、MBCを辞めさせられ、独立系メディアを立ち上げてこの作品を作ったそう。
イ・ミョンバクとパク・クネが政権下での放送局への圧力、それと闘った記者たちを描いている。
「共犯者たち」とは、マスコミを操作しようとする主犯(政権)に対してそれに協力したり、擦り寄ったりするマスコミを指している。

「共犯者たち」はしつこく質問するチェ・スンホをのらりくらりとかわしたり、逆ギレしたり、ひたすら黙ったり。誰も正面から反論する人はいない。

解職された1人が闘いの意味を問われて「少なくとも暗黒の時代に沈黙しなかった」と答えていた。共犯者にならなかった側の人たちだ。

これを見ると韓国のマスコミは大変だと思ってしまうが、2021年の報道の自由度ランキングでは、韓国は42位だが日本は67位。国が壊れたのは日本なのかもしれない。
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