Tai

モリのいる場所のTaiのレビュー・感想・評価

モリのいる場所(2018年製作の映画)
4.5
あー、子供の頃、よくやってたわーの連発!
でもそれをしているのは、おじいちゃん!
大好きな沖田修一監督の最新作はミニマムな大自然をのんびりほっこり描いていました!

30年もの間、家の敷地から出ることなく生活している美術巨匠・守一(通称「モリ」)
監禁されているのではなく、日がな庭の草木や虫や池の魚を見て楽しみ暮らしている生活をのほほんと見ることができます。
周囲では大小の事件が起きてきますがモリの通常運転さがシュールに面白い!

小さな庭といえど、今や日本の一般家庭の庭としてはかなりの広さですね。
そこを1日探索しているモリは、もう完全に「となりのトトロ」のメイそのもの(笑)
「池は遠いなぁ…」の件は、かなり吹き出きだしてしまいました。
沖田監督の作る笑いがツボすぎる私にはどストライクな作品でしたね!

熊谷守一という実在した日本画家をモデルにしたお話なのですが、この監督らしく詳しい説明は殆ど取っ払って人物を魅せていく感じが潔かったです。

個人の過去や経緯をあまり語らない沖田作品たち。
それよりも、各人物の現在を切り取ることで、何となく背景を匂わせつつも、その時の面白さを作るのが抜群に巧いと思います。

実はこの作品を観る前、岡山県の大原美術館に行った際に偶然にもモリの絵に出会っていました。
凄く記憶に残っていた絵だったのですが、まさかの背景のエピソードに心苦しくなります。
劇中でもチラリとその辺について触れている台詞がありますが、まさかそこが繋がっていたとは…
あくまでモデルとなった人物ですが、詳しく知りたい方は「熊谷守一」と「陽の死んだ日」を検索してみるといいと思いますよ!

何か起きているのに、大したことが起きていないように描き、でも飽きさせない沖田修一監督ワールド。
次回作でもどんな人物を見せてくれるのか楽しみです!
Tai

Tai