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ジョン・ウィック:パラベラムのkuuのレビュー・感想・評価

4.0
『ジョン・ウィック:パラベラム』
原題 John Wick: Chapter 3 - Parabellum.
映倫区分 R15+.
製作年 2019年。上映時間 130分。

キアヌ・リーブスが伝説の元殺し屋に扮し、銃とカンフーを融合させた『ガン・フー』や車とカンフーを合わせた『カー・フー』など、これまでにないアクション要素を盛り込みヒットした『ジョン・ウィック』シリーズの第3弾。
監督は前2作から続投のチャド・スタエルスキが担当。
イアン・マクシェーン、ローレンス・フィッシュバーンら前作からのキャストに加え、オスカー女優のハル・ベリー(撮影中に肋骨を3本折ったそうです)が謎の女ソフィア役で出演。
それに、ワンちゃん五匹(ソフィアの犬はジャーマン シェパードに似てるが、ベルジアン マリノア。実際の撮影では5頭で3頭のクールなワンちゃんたちを描いてるそうな。)

前作で怒りのあまりに、一流殺し屋が集う『コンチネンタルホテル』の掟である"ホテル内で殺しはおこなってはいけない"を破ってしまったジョン。
聖域から追放された彼を待っていたのは、組織による粛清の包囲網だった。
刺客たちがさまざまな殺しのスキルを駆使し、賞金首となったジョンに襲いかかる。
傷だらけとなったジョンは、かつて『血の契約』を交わしたソフィアに協力を求め、カサブランカへと飛ぶが。。。

余談から始めます『パラベラム』は、ラテン語の
"Si vis pacem, para bellum"
(平和を望むなら、戦争に備えよ)
という言葉に由来してる。
また、どこにでもある、いや無いナイ9mm拳銃のカートリッジの別名(「9mm Parabellum」)でもある。
このフレーズ自体は作中3回あり、暗殺組織のボス『振付師』に面会した時、ホテルの外のバスのドアに描かれてた、映画の後半でウィンストン(イアン・マクシェーン)が大声で云ってる等。

今作品は何をボケてたんか、以前観てましたが、感想を書き忘れていましたので、再視聴して書き進めます。

今作品は改めて観ると随所に名作映画のオマージュが見れます。
例えば、序盤、ウィックは19世紀のリボルバーで埋め尽くされた部屋のシークエンスで、ウィックは必死にリボルバーの部品を交換し、シリンダーを回転させ、異なるハンマーをコッキング(弾丸を薬室に送るために撃鉄を起こすこと)しながら、そのメカニズムに耳を傾ける。
これって、『続・夕陽のガンマン』(1966年)でイーライ・ウォラック演じるトゥコが銃砲店で数多くのリボルバーから自分好みのリボルバーを組み立てるシーンへのオマージュだと思う。
また、作中で繰り返される"be seeing you."ちゅうフレーズは、名作テレビ番組『プリズナーNo.6』でパトリック・マクグーハン演じるNo.6が使ったフレーズと同じ。
そして、今作品の記事で見かけた製作陣の話では、ハンフリー ボガート ノワール映画『カサブランカ』へのオマージュとして、ジョン ウィックをモロッコに送りたいと考えてたそうです。
まだ、オマージュシーンはあると思いますが再視聴などではその点(自分の興味あること)も注意して観るのも楽しいかなぁと。
 
扨、今作品は、アクションに満ちあふれていて、観て『疲れて欲しい』と語る監督の思惑通り、良い意味で疲れますし、殺陣のリズムは独自のアクション哲学を感じます。
振り付けやアクションシーンは将に畏怖の念を抱かざるえない。
純粋なアドレナリンで、まるでタイム・クライシスのようです。
キアヌ・リーブスに加え、おなじみの面々が戻ってくるが、第2幕ではハル・ベリーが重要な人物として登場する。
ジョンとほぼ同じスキルを持つ狂気のアサシン-暗殺者で、娘のために安全で快適な生活を送るために基本的に隠れて暮らしている。
また、"破門 "されたジョンに少しでも協力した者を処罰して回る主席連合の高位メンバーであるエイジア・ケイト・ディロン演じる裁定者も登場する。
裁定委員の首にある"einfühlsam"ちゅうタトゥーは、ドイツ語で『共感する』という意味やけど、彼女はCOOLすぎて誰に共感してるやら笑。
馬くんに、ワンちゃん、それにバイクさん(ヤマハ MT-09が観てとれたその他多数)はすべて、アクションシーンで非常に創造的かつ独創的な方法で使用されてるし驚愕する。
ワンちゃんが壁をよじ登り敵を噛み砕く場面など息を呑んだ。
ただ、アクションシーンはChapter2と同じように荒唐無稽で、腹から頭への銃撃が繰り返されるのは否めない。
しかし、それはジョン・ウィック作品においては必然やし必至。
それに、ジョン・ウィックというキャラはChapter1ですでに十分に出来上がっていたと思う。
続編はそれをさらに発展させて、暗殺者の世界やハイ・テーブル、彼らが守らなければならないルールについて、もう少し教えることに重点を置いてたかな。
ただ、ウィックが何者なのかも多少わかった作品とも云えるし個人的には嬉しかった。
例えば、ウィックの本名は、ジャルダニ・ジョヴォノヴィッチ。
JovonはJohnちゅう名前のセルビア・ヘブライ語版で、苗字は『ヨハネの息子』という意味である。
Jardaniはヘブライ語で『庭の』という意味であり、十字架に見られるように、彼の部族は明らかに以前はユダヤ人であったが、ある時点でキリスト教に改宗しているのがうかがえる。
また、その部族の起源がベラルーシであることも明らかにしている。
ベラルーシは旧ソビエト連邦で、西はポーランドと国境を接し、首都はミンスクである。
今作品の続編『John Wick: Chapter 4』は2023年に公開される予定やし、個人的にはナンセンスながらウィックが何者か掘り下げてほしいかな。
キアヌ・リーブスとチャド・スタエルスキは明らかに監督と俳優として素晴らしい絆で結ばれており、4作目への扉は大きく開かれていると思います。
考えたら、ウィック一人が殺る死体数はホラー映画のキラーよりはるかに多いし、実は殺り方も残酷なんも多い。
それやのにキラージョン・ウィックを応援したくなるのは不思議なものだ。
最後に、今作品はホンマモノの格闘家やバレリーナなど手を抜けるとこでさえ抜かない徹底ぶりに多くの視聴者は画面に釘付けにさせるんやろなぁ。
とても面白い作品でした。
因みに
後半のバトルに出てくるニンジャ戦士の2人は、ヤヤン・ルヒアンとセセップ・アリフ・ラーマン。
彼らは東南アジアの伝統的な武術プンチャック・シラットをはじめとした格闘術に精通してる本モンの格闘家。
エバンス監督の『ザ・レイド』にも出演していた。
また、同じく作中に登場するバレリーナの一人を、ニューヨーク・シティ・バレエのソリスト、ユニティ・フェランが演じてました。
フェランは、監督が彼女のキャラに難しいターンを何度もさせるシーンについて、疲れはて果たと語っています。 
このようにプロのダンサーでさえ手を抜かせない作品はそりゃ面白いはなぁ。
また、ユニティ・フィーランは、この映画でバレエの世界を知って貰いたいと、なんちゅう献身的。
バレエを観に行く機会はそれほどないが、武術の鍛練と同じくらい激しい芸術であるのはわかる。
また、バレエだけじゃなく、多くの人を魅了するは肉体だけでなく精神的なモンも大きい。
それと同じようにジョン・ウィックの歴史と重ねるとこなど今作品はCOOLでした。
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