春とヒコーキ土岡哲朗

ジョン・ウィック:パラベラムの春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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手際がよすぎて惚れ惚れする。

ジョン・ウィックの戦闘は、とにかく手際が良い。銃さばきが巧であるだけでなく、敵に攻撃されても最短で対策するし、武器がなくなったら使えそうなものを最速で見繕う。無敵なわけでなく、敵の攻撃を食らったり戦闘が予想通りにいかなかったりした上で、対処が手際よい。しっかりやられもするところにリアリティがあって、でも笑っちゃうくらい手際が良くて、かっこいい。
建物から逃げ出すも2連続で敵の車にはねられたところは、やられるのも手際良いのかいと思って面白かった。かっこよすぎて笑っちゃう、が続く。

それが終盤になると、スマートさがなくなり必死な状態でなんとか戦うようになっていく。途中で指を詰めるシーンもあったが、彼にも飲まなきゃいけない煮え湯がある。不自由な二択を迫られて、それに逆らえない。殺し屋業界のルールを破ってなお、殺し屋の道理には縛られる。スマートなようで縛られまくりな男。

思いっきり前作の続きから始まっているが、正直前作の内容をそんなに覚えていなかった。それでも問題なく観られるのがすごい。
ジョンは、殺し禁止のホテルで誰を、なぜ殺したんだっけ?ていうかこのホテルってどんな場所だったっけ?でも、殺し禁止のホテルでジョンが殺しをしてしまったから殺し屋連盟を除名になって狙われるという状況は説明されるし、そうだと言われてしまえば、追っ手を返り討ちにしていく姿をこちらは応援していくだけ。
序盤で、除名確定のジョンを義理で治療してくれた医者に、アリバイとして銃で撃ってくれと頼まれるが、それを打ち合わせし終わった瞬間にいきなり撃つ容赦のなさにびっくり。絶対に急所を外して撃てる腕があるからと言って、話し終わった瞬間に撃つのは非情すぎて、でも時間がない以上は早い方がいいから妥当なんだけど、でも……っていうかっこよさとひどさのバランスが絶妙。

日本人だから気になってしまうのは、まだ日本語がカタコトの俳優に日本人の役をやらせるのか。『キル・ビル』が「日本人じゃない役者が日本人役でしゃべるカタコトの日本語」さえもオマージュしたのが2003年。そこから16年経ってもまだ普通に残ってるのか。