半兵衛

ジョン・ウィック:パラベラムの半兵衛のレビュー・感想・評価

3.2
キアヌ・リーヴス本人の奮闘ぶりもさることながら工夫されたアクションの数々は圧巻だし、それをフルコースどころか食べ放題レベルの圧倒的な量でもてなしてくるので気分はお腹一杯に(でも量が多過ぎて飽きがきてしまうのも事実)。本作のラスボスともいえる謎のアジア人殺し屋はどういうキャラクターなのか今一つ判別できないうちに倒されてしまったのでモヤモヤしてしまうが、随所に登場するアジアのアクション映画のオマージュを捧げたいがゆえに無理矢理出したのだろうか(そのせいで肝心のアジア人からは日本人なのか中国人なのかはっきりしない人物像になってしまっているけど)。

一作目や二作目で度々登場してきた犬が本作にも出てくるが、よりによってヒロインのハル・ベリーはそれを使役して敵を倒す。でも一番作品のテンションが高まったのはそこで、自分でも敵を殺害しピンチになると犬が倒すという二元攻撃はなかなか見られないショットなので興奮した。

ラストの結末は仕えてきた組織のボスに徹底的に逆らったらそうなるしかないよねというやるせないところに、サラリーマンやバイトだったら辞めればいいのだけれどしがらみも多いし掟も厳しいので辞めるどころか自分の命を捧げるしかないという。

でも朝から夜まで人を倒し続けて疲労しているはずなのにそれでもまた襲ってくる奴らを倒していく主人公は人間というよりもはやゲームの主人公になっているような。

あとあいつプロのヒットマンにあんなに斬られてよく生きていたな、幕末に刺客に襲われ数ヶ所も斬られたのに内臓は無傷だったため奇跡的に生還した井上馨を思い浮かべた。
半兵衛

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