シネマスナイパーF

ジョン・ウィック:パラベラムのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

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完全なる余談ですが、周りの方に迷惑にならないよう気を遣いながら、前売り特典のキルカウンターでジョンの分のみキルカウントをしてみました
確実に誤差はあると覚悟したうえで明転後カウンターを見てみたら88と表示
意気揚々と「これは面白い試みしたぞ!」と思ったのも束の間、思えばタイマンが長かったりガンアクションが少し減って格闘が増えてる気がするから88も凄いけど前作よりは少ないんじゃないかと思い始めて、極めつけはパンフレットでの芝山幹郎さんとギンティ小林さんのコラム
正しくは今回のキルカウントは94人だそうです
答え合わせで誤差確認できたうえにやっぱり前よりは減っているらしい…
でもなんだかんだ楽しい試みでした


ついにやりやがった、犬によるワン!・フー
ナイ・フーの発展版、剣・フー
エセ日本人、ある意味和・風!
いったいどこまで進化するのか
韓国映画「悪女」の影響をモロに受けたバイクチェイスなど、他の斬新なアクションも積極的に取り入れている
しかし、かと思えば馬を駆るシーンもあり、アクションの原点へ戻ってもいる
毎度のこと、やたらとカットを割ったりせずにアクションを見せ切るスタイルは最早芸術の域
ノンストップアクションとはこのことで、ただの殺しではない、ダンスとも言えるような優雅な体術

芸術と言えば、ロケーションや美術も引き続き一級品
序盤の逃亡フェイズのネオンの悪夢感
アサシン養成所の豪華だが殺伐とした空気
前作のローマも素晴らしかったですが、今回のモロッコの夜はネオンと違った艶めかしさがムンムンでした
このシリーズの特徴のひとつ、これだけ多くが死んでいてバイオレンス描写も一切逃げていないのに、ソリッドな美しさ、贅沢さ、荘厳さだけは絶対に損なわれない最高のバランスが今作品は史上最高に炸裂している
レコードがかかることでスタートするニューヨークコンチネンタルでの銃撃戦、そしてガラス張りの部屋での戦闘はシリーズの真骨頂!
このスタイリッシュさはジョン・ウィックシリーズじゃないと味わえない


物語は回を追うごとに広がる
一作目は個人的な恨み、二作目は個人的な関係での誓約を守るためと、あくまでも私的な感情のままに猛進できていた過去作と違い、今作は秩序を乱した罰を下される話となっている
正直褒められたものじゃない、なんなら野蛮ですらある殺しの世界はルールをもって秩序を保つ
よって今回は、選択と報いそしてけじめという部分が一層強調された物語となっている

けじめをつけることを強いられた男たち
ウィンストンは自分自身を傷つけることなく寧ろ温情を逆手にとってコテンパンにやり返し、彼にとって最高の形でけじめをつけた
ジョンは一度けじめをつけたが、懲りずにやり返してしまったので最早自分自身にけじめをつけなければならなくなった
それでも、意地でも屈しなかった男の場所へと向かったジョンは、個人的な感情で再び復讐へと回帰していくと思われる


ひとつお願いがある
確かに永遠に観ていたいほどうっとりするようなシリーズだけど、ダラダラと続くのは正直観たくない
ちゃんとチャド・スタエルスキ監督とキアヌにはけじめをつけてほしい
次がジョン・ウィックにとってのエンドゲームだと期待して、あと二年震えて待ちますよ