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サニー/32のtsuyocinemaのレビュー・感想・評価

サニー/32(2018年製作の映画)
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【サニー32】
中学校教諭の藤井赤理は24歳の誕生日に拉致られる。誘拐犯の柏原(ピエール瀧)と小田(リリーフランキー)は小学生ながら同級生を殺害したこととそのかわいさから犯罪史上で有名人となった通称サニー(32)の熱烈な信者だった… 『孤狼の血』『日本で1番悪い奴ら』『凶悪』などで知られる白石和彌監督作品であり、モチーフとしては実際の事件を元にした映画であり、ピエール瀧もリリーフランキーも出てることから陰惨な犯罪ものかと思いきや、良くも悪くも変な映画でした。

佐世保小6同級生殺害事件を題材に加害者が成長したあとにその子の行き過ぎた信者が拉致ったら?その様をネットにあげたら?
という前半のストーリーラインは現実的に犯罪者マニアとネットが普及して犯罪歴がデジタルタトゥー化することを考えるとリアリティーがあるし、作中の『表現の自由と人権』みたいな話も現実問題としてある。それをある程度の緊迫感を持って描いてるので白石監督の犯罪モノの緊張感をはらんでいるのだが、後半の他者からの尊重による自己肯定感テーマのストーリーラインからなかなかなおかしな展開になり、最後は結構グダグダしてしまうのはなんなんだろう?
しかし、やり切れたはずなのに、本作でグダグダやってしまう白石監督に対しては嫌悪感は感じず、ただただ不思議な映画にしたなぁーと思った。
恐らく嫌悪感を感じる/感じないの境界はハードな犯罪モノでも入れてるユーモアや悪ふざけの比率とその方向性が合うかどうかなのかなと感じた。
個人的には白石監督の『麻雀放浪記2020』は映画自体を損なう悪ふざけで嫌悪感を覚えたが、今作は悪ふざけも1つの映画の可愛げになっており、ウェルメイドよりもそっちに振ったのが自分としては許せたからだろう。
なので、その悪ふざけ率と方向性が嫌いな人が結構いるから低評価なのかなと…笑
まぁ映画の感想なんて主観っすからね。

わたくしはピエール瀧とリリーフランキーが共同生活ではしゃいでたり、リリーフランキーのヤバイ犯罪ヲタ演技(股間触るのとかひどいけど爆笑!)、デフォルメしたヤンキーカップル、共通の思考をもった集団のヒエラルキーを作る感じと宗教化、ネット内評価のためのマウント取りなどなど…悪趣味な演出が苦笑いとニヤニヤ笑いを誘って愛着を持たざるを得なかったっす。
後から知ったけど、主役の北原里英がNGT48で、アイドルムービーだと考えると結構挑戦的だし、アイドルムービーしてるなと思える作品だった。
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