ダイナ

ほえる犬は噛まないのダイナのレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
4.4
ポン・ジュノ長編デビュー作。ストレートなギャグから、笑っていいのか不安になるブラックなネタ、急展開の応酬が楽しいブラックコメディ。「犬殺し事件」の犯人を探す本作のストーリーが単純なサスペンスにとどまらない理由としては、主役の思惑・モブの思惑の癖の凄さにあります。管理人や教授志望、警備員、ホームレスetc…群像劇と呼ぶほどたくさんの人物が均等にフィーチャーされるわけではないですが、一人一人の描写が濃い。可愛げある間抜けさあれば人間の怖さ醜くさ、様々な生き様が絡んでいく展開は、痛烈でもあり爽快でもあるけどモヤモヤとさせてくれます。純粋と打算と罪悪感を闇鍋にしたような内容。「そんな展開になっちゃうの!?」と思わせてくれるポン・ジュノ作品たまらんね。

煙がモクモクと立ち込めて犬が消えるシーン、大半が日常的な画面の中でスリリング極まっていて良かったです。上層と下層の対比と共通点をシニカルに描いた内容、ポンジュノがパラサイトで映した本質は本作から片鱗を見せていましたね。やっぱり相変わらずポンジュノ作品はエンドロールの時間で頭の中整理してる時がたのしい〜。
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