『ミクロの決死圏』の最大の見せ場は、抗体が貼りついたラクエル・ウェルチの身体から、男どもがひっぺ剥がすシーンではなかろうか(笑) 意識してるのか胸辺りを中心にやっているのが可笑しい。
特撮シーンはチープなのは否めないが、今から五十年以上前にこういうストーリーをこしらえて、映像化にチャレンジしただけでもとても素晴らしいことだと思う。
動脈から静脈へコースアウトしてしまい、心臓を一瞬停止している間に通り抜け、肺で空気を補給し、聴神経を経由して脳内の患部へと向かう。まさに「ファンタスティック・ボヤージュ」ではないですか!
ストーリーはさすが東西冷戦下の時代に作られただけあって一種スパイ物の要素もある。
人間や物体をミクロ化する技術についての研究が盛んな近未来。
ミクロ化研究の大家である東側の科学者が西側に亡命するも、敵スパイに襲撃されて瀕死の重傷を負う。
脳内にできた出血箇所を手術するために、医療チームを乗せた潜航艇がミクロ化され、体内に注入される。
ミクロ化している時間に制限があり、一時間で元の大きさに戻ってしまうという足かせがあり、これが物語をさらにスリリングなものにしている。
今回気づいたのが、潜航艇がミクロ化してからエンディングまでちゃんと上映時間も一時間きっかりになっているのだ。
最後に乗り捨てた潜航艇は巨大化しなかったのだろうかというのが本作を観た人誰もが疑問に抱くところだと思うが、私は白血球があとで美味しくいただいて既に消化していたと信じたい。
出演陣は紅一点のラクエル・ウェルチ以外は、スティーヴン・ボイド、アーサー・ケネディ、エドモンド・オブライエン、ドナルド・プレザンス、アーサー・オコンネルと激シブな顔ぶれで嬉しい。
■映画 DATA==========================
監督:リチャード・フライシャー
脚本:ハリー・クライナー/デヴィッド・ダンカン
製作:ソウル・デイヴィッド
音楽:レナード・ローゼンマン
撮影:アーネスト・ラズロ
公開:1966年8月24日(米)/1966年9月23日(日)