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ラストマン・スタンディングのスペクターのレビュー・感想・評価

2.9
『ラストマン・スタンディング』(1996)をテレビ放映するというので、観てみた。

この映画は、20年ほど前に映画館でみている。
栃木県は足利の映画館。
レイトショーで、観客が私一人だったのを覚えている。
ど真ん中の座席で独占貸切でみた。

同じころ、『ザ・ロック』(1996)も同じ映画館でみた。
このときは5人だったか。

暫くして、この映画館はつぶれたが。


*『ラストマン・スタンディング』など、
映画タイトルが 『.......マン・.......ing』 がこのころよく流行った。
*『デッドマン・ウォーキング』(1995)
スーザン・サランドンのこの映画は、それほど軽くはない。
*『トレイン・スポッティング』(1996) .......マンがない。
*『バットマン・リターンズ』(1992) .......ingがない。
*『スパイダーマン・ホームカミング』(2017)
*「ウルトラマン・買いに行く」 これは無い。


さて、本作品。
黒澤明監督作品のチャンバラ映画『用心棒』のリメイクである。
なかなか、忠実にリメイクしたものである。
ただ、タイトルは “BodyGuard” ≪用心棒≫ とはせず、
ストーリーに照らし分かり易く “Lastman Standing” ≪最期に生き残る奴は≫ としている。

アイルランド系とイタリア系のギャングがそれぞれのホテルを根拠地として抗争を繰り返す街に、
逃走を続ける一人の男ジョン・スミス(ブルース・ウィリス)がやってくる。

スミスのナレーション曰く、
シカゴでは中流のマフィアが口にする豪華な食事を喰らうブタ野郎(イタリア系)と
密造酒の密売を行うクズ野郎(アイルランド系)の
クソギャング達しかいない何の停まる価値もない街.......と言いながら、
ギャングに捕らわれの身の女の姿を見てしまったことから、滞在してしまう。

スミスの最初の一人殺し、さらに二人殺しまではまだ理解できるが、
後半の八人殺しとなると、なんでそこまでするのと、う~んと首を傾げてしまう。

結局、半殺しのリンチを受け、報復としてか策を謀り、ギャング集団は壊滅するが、最後は無一文で街を去る。

ストーリーは単純で名優を配しているにもかかわらずB級映画の域を出ない作品である。

しかし、見方によってはストーリーにこだわることなく、ガンアクションを楽しむなら恰好の作品となっている。
最初の殺し、二丁拳銃のスピードアクションは、お見事といってしまう程、スカッとするシーンである。

八人殺しの場面では、殺られた方のギャングが、
.......一発も撃たさずに殺られている、これは20人ほどの集団で一斉にやったに違いない........
とか、それを一人で、それほどの腕前とは。

肝心のクリストファー・ウォーケン、“恐怖の用心棒”と前宣伝ばかり凄く
現れてみると大したことはなく、凄みも怖さも物足りない用心棒ヒッキー。
ラスト、親分がバーの店長に撃たれのに撃ち返さず。
しかも不利な状態でスミスを撃ち殺そうとして逆にスミスに殺られてしまう。
相変わらず、間が抜けている。
それでも、脇役としての存在感を保っているのはさすがである。

他のキャスト
*エド保安官:ブルース・ダーン
*バーの店長ジョー:ウィリアム・サンダーソン
*イタリア系ギャングのボス、ストロッジ:ネッド・アイゼンバーグ
*アイルランド系ギャングのボス、ドイル:デーヴィッド・パトリック・ケリー
*捕らわれの女性フェリーナ:カリーナ・ロンバート
*ストロッジの愛人ルーシー:アレクサンドラ・パワーズ
などなど、それぞれが好い味を出している。

監督:ウォルター・ヒル
音楽:ライ・クーダー
BS朝日
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