SNSイジメ、LGBTなどテーマからしていかにも今どきなジュブナイルものだよな…と最初の内は客観的に見ていたものの。
現実シーンの困難が深まるほどに煌びやかな空想シーンとのコントラストが際立って、切なさが増していく。主人公たち3人の関係が深まるほどに、それぞれの気持ちのズレが少しづつ表面化してくる。不穏な空気感が増していき、見ている方の心もザワついてくる。この辺りの描写は実に見事。
逃げ場がなく容赦ない子供たちの世界はどの国も共通だ。そして青春の明るさと若さゆえの勢い。誰にでもあるそんな記憶が少し、くすぐられる。LGBTに特別関心がなくても引き込まれるのは、そうした普遍的な部分がきちんと盛り込まれているせいかも。
なおイタリア映画なので、やはりこの作品でも家族は常に暖かく支えてくれる。どこかに救いがあるイタリア映画らしさが、テーマの重さを和らげて見やすい作品になっていると思う。