真一

沈黙 立ち上がる慰安婦の真一のレビュー・感想・評価

沈黙 立ち上がる慰安婦(2017年製作の映画)
3.2
今から78年前まで
韓国と北朝鮮が
日本の植民地だった
事実を知る日本人は、
一体どれぐらいいるだろうか。
本作品はこうした「負の歴史」が
人々の記憶から消えゆく中で
出された、貴重な
ドキュメンタリー映画だ。
登場するのは、日本軍兵士らの
「性のはけ口」にされた
朝鮮半島出身の被害者女性たち。
被害者の謝罪と賠償に
応じようとしない日本側の
動きも捉えている。

「だまされて連れてこられた」
「性交を強要され、泣いた」
「抵抗した娘は翌日不明に」
「男性器を口に突っ込まれた」
「子宮出血が止まらなかった」

沈黙を続けてきた
複数の被害者が、
真実を告発しなければ
死にきれないと思い立って
明らかにしたのは、
こうした凄惨な体験だ。

もし自分が彼女たちと
同じ目に遭ったら、
日本政府に対して
どのような感情を
持つだろうか。

結論は一つだ。

「自分の人生を破壊した
日本に罪を認めさせる。
泣き寝入りはできない」

実際、多くの被害者は
この道を選んだ。当然だ。
後に元従軍慰安婦問題
と呼ばれるようになった
問題は今なお、日韓間の
懸案であり続ける。

筆舌に尽くしがたい
地獄を体験した
当事者の訴えをよそに、
日本と韓国の政権が
この問題を利用して
ナショナリズムを煽り、
人気取りに奔走している
気がしてならない。
とりわけ右派の歓心を
買うために韓国を
刺激し続けた
安倍政権の態度は、
目に余った。

私たちは、この問題に
どう向き合うべきか。
はっきりしているのは、
人権を侵害されても
仕方がない民族など
この地球上に存在しない
という事実だ。
そして女性は、
男性の性処理道具でない
という事実だ。

私たちの先祖は、
この二つの事実を無視した。
同じ過ちを繰り返さない
ためにも、私たちは
日本の、世界の「負の歴史」を
直視し、明日につなげる
必要があると思う。

監督は、被害者側に立つ
在日コリアン二世の
朴壽南(パク・スナム)さん。
加害者サイドから
こうした作品が生み出される
時、日本ははじめて
真の人権国家として
認められるようになる
のではないだろうか。
真一

真一