TAMU

沈黙 立ち上がる慰安婦のTAMUのレビュー・感想・評価

沈黙 立ち上がる慰安婦(2017年製作の映画)
3.6
初めて「シアターセブン」で鑑賞。大阪に来て1年少し、新しい映画館に足を運ぶのも楽しみの一つ。
ミニシアターなんだけど、席が30席ほどで20人くらい入り。渋谷のアップリンクより椅子はいい。小劇場を兼ねてるのかステージもある。若干エアコンの音が気になるのも趣深いw

本作は元慰安婦の方々が抗議のために度々来日されていた90年代当時の映像を中心に構成したドキュメンタリー。
在日2世で元慰安婦の来日時のサポートを務めていた本作の監督が、主に日本における慰安婦の方々の足跡を丁寧にまとめたもの。
ドキュメントを通じて、ストーリーが集約されていくといった展開は無く、現実が確かにそうであるように、同じところをグルグル回っている感じで結構しんどい。

伝わってくるのは、元慰安婦であったハルモニたちが受けた人権蹂躙に対する恨の意識。
人としての尊厳を失い、人生そのものが傷ついた彼女たちは日本に対して国家としての謝罪を求める。
これは、ハルモニが亡くなってしまったら終了するようなものではなく、何世代に渡ろうが謝罪があるまで続けるといった強い意思。

今の韓国の若い方たちがハルモニを支援したり、抗議活動に参加したりするのは、この戦いを続けなければいけないといった意思が引き継がれているのだ、と妙に納得。

慰安婦像も意思を引き継ぐ一つのツールなんだなぁと。

時の総理大臣が軽い謝罪をしたところで、うやむやになることは歴史が語っており、昭和天皇も平成天皇も韓国に訪問することがなかった今、どうしたら解決できるのかとため息は深い。

一方で、監督はチャーミングな84歳。上映後のトークではため込んでいた倉庫から幻のフィルムが見つかったとの事で、次回作への熱意を新たにしておられました。
新しい作品も楽しみにしています。いつまでもお元気で。
TAMU

TAMU