horahuki

マリア・ブラウンの結婚のhorahukiのレビュー・感想・評価

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
4.0
記録です。

スタート時点においてヒトラーを吹っ飛ばし、結婚に穴が開き、銃撃と爆撃の中でも縋り付く儀式が血塗れとなるかのようなオープニング。停止させられた結婚を再スタートさせるために自らの力で稼ぎ成り上がることに邁進するマリアと、その一方で男性性の喪失から再獲得へと向かう世相との間の上振れと下振れの離反と交差。夫の喪失確信時(離反の決定打)と同様な手を滴る蛇口の水は、ラストの出来事にマリアの意思が介在しているか否かに関わらず、真意としてはそうならざるを得ない意図(交差の決定打)を突きつける。流麗なカメラの中でのマリア対その他の動線もまたクライマックスにおいて対比されており、交差の流れを後押ししている。裏取引の時点において資本主義的価値観への傾倒は見え、そちらへと取り入る際には“足”が印象的に捉えられる。それ故に交差時の虚しさが増し、起点の舞台が学校のもとに作られること、涙→学校なことがマリアの心的な分析的表現として乗っかってくる。それはある種のペルソナと抑圧された深層であって、厳密には違うけど『千年女優』的なものを感じた。何気に“吹き消す”→“爆発”は連関自体は緩やかながらも序盤に仕込まれているように思う。自身が本当に撮りたかった『ベルリン・アレクサンダー広場』の実現を前にして、本作にかかってる時間がなかったために脚本は外注で割りかしやっつけな仕事であったらしい。演劇を三次元的な流れに落とし込むような綺麗なところが多かったけれど、『不安と魂』ほどには映像的に惹かれず、あれ?と思っていたのはそういうところも関係してるんでしょうね。でも間違いなく傑作!


阪神勝ってほしい!!


書き殴ってるだけなので、コメント等スルーしてください🙏
horahuki

horahuki