このレビューはネタバレを含みます
戦後ドイツの復興と、収監中の夫の帰りを待つ女性のしたたかな成り上がりを重ねて描く。
が、最終的にドイツはワールドカップで華々しく優勝を飾るのに対し、彼女の人生はしだいに陰りを見せ、夫の帰宅直後にタバコの火の不始末であっけなく死んでしまう。
いかにも自立した女性のように描かれる彼女だが、実際には男性を誘惑しなければ社会的に成功できなかったわけで、そのジェンダー的に不平等な環境が、敗戦国という国際的な悪条件を抱える戦後ドイツに重ねられているようにも見えた。
戦後復興のもろさを彼女の劇的な人生に重ね合わせるアイロニカルな映画だと思った。