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マリア・ブラウンの結婚のthornのネタバレレビュー・内容・結末

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

途中まで良さに全然気づかなかった。なんて下手な演技だろう、カメラももたついてるし、変なところばかり撮ってて見づらすぎると。しかし刑務所の旦那と面会するときに周りがゲラゲラ笑うあたりから、これは違和感の映画なのだと気づいた。まじめな眼で観てはならないと。ナチス政権下の慰安婦ときくと、なんだかしみったれた映画なのかと最初思うが、全く逆でまるで黒沢清かデビッドフィンチャーのような不気味な違和感があって(逆なんですけどね)ダサい音楽以外は全部良かった。音楽どうにかならんのか。
ブラックジョークが結構キツイ(サッカーの試合で傀儡国家のハンガリーに勝利するドイツ、下腹部丸出しで殴り殺される間抜けな黒人将校、黒人を殺しても大した罪に問われない皮肉、空襲でボロボロになった廃墟の学校に住み続ける妹(何だあの建物は)、基本全員棒読み、モタモタした人物の動作、どう見ても40年代に見えないファッション、スロッビンググリッスルみたいな珍妙な音楽。爆発オチ、ストーリーはティファニーで朝食をの原作を思わせる。)ハリボテのようなのに、二日酔いの時の悪夢みたいに感覚だけが冴え渡ってる感じがする。日活ロマンポルノのような胡散臭い唐突なヌード。ずっと作品を覆う一抹の破滅の予感。大好きです。演出が濱口竜介を思わせるから(黒沢清の弟子だしな)、ドライブマイカーが好きな人は気にいるんじゃないかな?まともさの仮面を被った変な映画って好きなんですよね。
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