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神と共に 第一章:罪と罰のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

神と共に 第一章:罪と罰(2018年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

死者が地獄で受ける四十九日の裁きを題材にしたファンタジー・アクション映画『神と共に』シリーズの第1作。

救助活動中に命を落とした消防士ジャホンの前に、彼を弁護するという3人の使者が現れる。彼らが言うには、死者は閻魔大王による七つの裁判を受けねばならず、その結果によって生まれ変わるのか地獄に落ちるのか決まるのだという。善人であるジャホンは余裕で勝訴出来ると思われていたのだが、そんな彼が何故か〈地獄鬼〉という怪物に狙われる…。

地獄の凄腕弁護士、カンニムを演じるのは『チェイサー』『お嬢さん』のハ・ジョンウ。
死者と弁護士たちを守る護衛、ヘウォンメクを演じるのはテレビドラマ『宮〜LOVE IN PALACE』や『アシュラ』のチュ・ジフン。
精神に問題を抱える一等兵、ウォン・ドンヨンを演じるのはテレビドラマ『大丈夫、愛だ』や『あの日、兄貴が灯した光』のド・ギョンスa.k.a. D.O.
謎の男、成主神を演じるのは『新感染 ファイナル・エクスプレス』『犯罪都市』のマ・ドンソク。

原作は韓国の同名ウェブコミック(2010-2012)。日本でも翻訳されているのかな?
詳しい事は知らないけど、日本人漫画家によってリメイクもされているようだ。

日本でも馴染みのある「四十九日」。
命日を含む四十九日間で死者は生前の行いを審査され、良ければ極楽浄土に行く事が出来、アウトなら地獄に落ちる。んで、遺族はその間現世でしっかり供養することで「故人はこんなに慕われた良い人なんです。どうか閻魔様お目溢しを一っ…」なんて一所懸命になむなむする、と。
うーん、なんかややこしい。うちも仏教なんでわかるけど、本当に葬式になるとあれやこれやのしきたりや作法が多い。金もがっつりかかるし…。宗教ってやっぱり摩訶不思議。

四十九日で行われる閻魔大王の大岡裁きを法廷劇にする。これはなかなかフレッシュな発想である。そう来たかっ!と思わせる、盲点を衝く設定だと思う。
…なんだけど、なんかめっちゃごちゃごちゃしてて凄く飲み込みづらかった😓

開始1分で主人公(でいいのかな?)が死ぬというスピーディな展開は非常に良い!
そこは良いんだけど、そこから畳み掛けるように詰め込まれる細かな設定の数々。
3人の弁護士がいて主人公は「貴人」かつ「正義の亡者」で七つの裁判がどうたらこうたらで身内が恨みをもったまま死ぬと怨霊になってそれが冥界にチオックィとかいう怪物を生み出して時間が早く進んでウンタラカンタラ…。あー、もう一回言ってくれる?

漫画が原作の映画にはありがちだが、設定もストーリーもぎゅうぎゅうに詰め込まれたすごく隙間のない窮屈な映画になってしまっている。おそらくこれは原作の物語を2時間に纏めようとした弊害なのだろう。
現世に行ったと思ったらすぐに冥界に戻ってきたり、あるいはその逆だったり。ただでさえ地獄巡りで舞台がコロコロ変わるのに、それに加えてあの世とこの世まで行き来し始めちゃってまあ忙しない。
今どこで何やってんのか、理解する前に映画がコロコロ転がっている感じがして、最後まで映画のリズムに乗ることが出来なかった。

ハリウッドレベルとまでは言わないが、日本映画のレベルを遥かに超えるVFXで描かれたバトルシーンは見事。
「ファイナルファンタジー」や「キングダム ハーツ」を髣髴とさせる厨二感、嫌いではない!
カンニムやヘウォンメクの佇まいや言動はあまりにもアニメ的で、最初はちょっと受け入れ難かったのだが、観ているうちに慣れる。
乱暴な皮肉屋だけど強くて頼りになる。ヘウォンメクは日本でもめちゃくちゃ人気出そうな良キャラです😊

弁護士チームはみんな竹を割ったような性格で好感が持てたのだが、肝心のジャホンは最後まであまり好きになれなかった。
ジャホンを演じるチャ・テヒョンは『猟奇的な彼女』(2001)でお馴染みの俳優さん。『猟奇的な彼女』の時は良いと思ったけど、今回はダメだった。もう終始喚いてるし泣いてるし困ってるしで暑苦しいことこの上ない。演技のカロリーが高すぎて食あたりになるかと思った。
まぁこれは役者のせいじゃなくて演出のせいだと思うだけど、周りにクールなキャラが多いから余計にジャホンの暑苦しさを鬱陶しく感じてしまった。

終盤の母と息子の絆が涙をそそる名シーン。まぁいかにも儒教の教えが根強い東アジア国家的な展開だな、と思ったけどそれは良しとして。
問題は観客を露骨に感動させようとして湿っぽい劇伴を流し、あまつさえ登場キャラクターたちに涙まで流させてしまっているところ。
いやいや、そんな露骨に「はいここ!ここ感動ポイントですよ!!」なんて言われると観客は冷めちゃう。ただでさえジャホンの暑苦しさに辟易していたのに、それに重ねてこの御涙頂戴は本当にキツかった。ベタにはベタの良さがあるとは思うが、これはちょっと味付けが甘すぎる。

という訳で、個人的にはまるでハマらなかったものの、少年マンガのような展開と派手派手しいバトルはなかなかに楽しかった。
よくわからんお話ではあったが、最後の最後にマブリーも登場してくれるし、なんだかんだで満足感は高かったような気がする。
というか、マ・ドンソクって本国でも可愛いって扱いなんですね。何でこんなクマみたいなオジさんが可愛いって言われるんだろう。…でも確かに可愛いんだよなぁ…💕
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