旅行のため日本を訪れた外国人が所持していた拳銃がふとしたことをきっかけに様々な人物の手に渡ることに…と解説文を読むとめちゃくちゃ面白そうな映画に思えるけれど、実際はそれぞれのエピソードは冗長だしいずれも単なる羅列で繋がっておらず、オチもそれらが全く関係がないところに到着するのでこうしたオムニバス映画の醍醐味が味わえなくて不満ばかり募ることに。それでも1959年という時代に単なるアクションの道具ではない拳銃をドラマの軸にしようとする野心作を作ろうとしたことを個人的に評価したいので甘めの点数に。
赤木圭一郎演じる軽薄な若者とその恋人が手にした拳銃をオモチャ代わりに使って遊ぶエピソードはインパクトがあったのに、すぐに拳銃が別の人の手に渡り終了してしまうのが残念。他のエピソードも掘り下げていけば結構面白いものばかりなのに中途半端に終わらせているのが作品の面白味を薄くしている。
この映画と同じ年に『渡り鳥』シリーズに出演したブレイク直前の宍戸錠が鉄砲玉という未熟な役柄を演じているのが新鮮、そして宍戸のボスを演じる安部徹がいつもの豪放な悪人ではなく終始冷徹で大和屋竺作品から飛び出してきたようなキャラ。その他にも野呂圭介をはじめ日活の脇役陣がちょいちょい顔を出しているのも日活映画ファンとしては嬉しい。
東京オリンピック開始前の、整備されていない東京の風景も見所。そしてオートマチックでロシアンルーレットを行うという珍妙なシーンに思わず苦笑い。