『正しい』とか『正しくない』とかでは測れない、人間の奥底に潜む欲に身を委ねさえすれば得られるかもしれない、一瞬の刹那的な愉楽。
それを望むことは果たして極刑に値することなのだろうか。
…という、現代ならば炎上ネタであろうゲーテの戯曲『ファウスト』を、まさしく20世紀のブタペストを舞台に書き直された作品。
そこに盛り込まれているのは滑稽さと皮肉とちょっとばかりグロテスクなダークファンタジー性。
まさに「ヤン節」に満ちている。
子どもの頃はこんな自由で不気味さに満ちた夢をよく見ていたような気がするのだけれど… と、ヤン・シュバンクマイエルの作品を見るたび、大人になってしまった私は思うのだった。
ピルケ!
パドルケ!