Rokehan

負け犬の美学のRokehanのネタバレレビュー・内容・結末

負け犬の美学(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

・冒頭の試合シーン、主人公が負けてリングから控え室に向かうまで引っ張りのロングカットがあるが、このロングカットは欧州チャンピオンのスパーリングに向かうカジノの引っ張りのロングカットと対になっている
・冒頭の試合後に外でタバコを吸っているマチュー・カソヴィッツに違和感が残る、試合後セコンドも家族も関係者も誰も彼の近くにいない、そもそも存在していないかのような雰囲気は彼が誰にも相手にされない弱小ボクサーであることを物語っているようだ
・タバコを吸い終わって中に戻ろうとするも一般客と間違えられIDを求められるシーンも素晴らしい、ボクサーとして顔を覚えられていないという屈辱。これに対してマチューは怒るわけでもない、優しく怒れない性格が垣間見える
・さらに驚くことに試合後なのに自分で運転して家に帰る
・家に帰りグローブを片付ける様、血で滲む洗濯機、血が交じるしょんべんがリアル
・家に帰ると子供たちが寝ていてマチューは布団をなおしてあげる
・娘のためにピアノを買うかどうかで嫁と喧嘩する、ここで保険料が払えていないことから貧乏であることが見えてくる
・マチューは家族のためにスパーリングのチャンスをモノにするが、嫁はマチューの身体を心配して反対する
・スパーリング当日マチューはボコボコにされて解雇を言い渡されるが次の日の朝チャンピオンの朝のロードワークに待ち伏せし、自分がチャンピオンに必要であることを論理的に説明し解雇を免れる。
ここまで常にピンチとそれをなんとか乗り越えるマチューとマチューを支え力の源になる家族の存在が描かれる
・その後はミーティングで発言するも聞いてもらえなかったり、スパーリング仲間と軽い言い合いがあったり、娘が学校でいじめられたりと苦悩が続き、後悔スパーリングで娘の見てる前でチャンプにボコボコにされて人間関係が壊れたかのように見える
・そんなマチューを娘はダサさと誇らしさの複雑な気持ちで見ている
・スパーリング最終日、マチューはチャンピオンの前座試合を得る。当日は嫁しか来ない、娘が結局来なかったのは何故なのか、、結局娘にとって父が勝つかどうかもはやどうでも良くやり切ることが大事なのだと確信したから見に行かなかったらのではないか
・父は判定でなんとか価値を得る
・そしてラストシーンは娘のピアノの発表会、決して上手ではない娘のピアノを影で聞いているマチューは少し微笑み場を後にする、そして娘も弾き終えはに噛んで映画は終わる。決して上手では無くても好きなことをやり切ることの大切さを娘は感じとったのかもしれない
・チャンピオンはナジーム・ハメドをイメージしている気がする
・若い奥さんのヤンチャそうだけど人情に厚そうな感じがいい
・チャンピオンが公開スパーリングの後に謝りマチューを讃える感じもいい。この映画に出てくる登場人物は皆心が温かい、そして心が温かい物同士が相手を思いやることで自分が頑張れているのも素敵だ
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