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負け犬の美学のsamiamのネタバレレビュー・内容・結末

負け犬の美学(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

まったくマークしていなかったが、かみさんのチョイスで観賞。

原題はスパーリング。
中年ボクサーが生活のため、子供にピアノを買ってあげるために、危険を冒して欧州タイトル挑戦者のスパーリング相手として雇われる話。

物凄くいい映画だった。
主人公を始め役者さん、みな素晴らしい演技。子役の子、精悍な顔立ちで男の子かと思っていたら女の子。唸るほどうまい演技。一度でFanに。さばけた感じの美容院に勤める奧さんもいい味出して。

主人公は6ラウンドボクサーで試合もなかなか組んで貰えず、ファイトマネーだけでは当然家族を養っていけない。アルバイトもするが、いわゆる髪結いの亭主に近い状態。
映画は負ける試合のシーンから始まる。戦績はこれで49戦13勝33敗3分け。3年間勝ちが無い。奥さんからは50戦で引退する約束をさせられている。
ジムにタイトル挑戦者のスパーリング相手をスカウトするためにやってきたトレーナーに自分を売り込みなんとか雇われるが。。。

タイトル挑戦者から戦績を聞かれ「俺なら辞めているよ。なぜ続けるの?」の問いに、「ボクシングが好きだから。」激しく共感した。自分に才能がないことは分かっていても、好きで好きで辞めずにいる。ボコボコにされても。家族に呆れられても。
無敗で11回も防衛を続け一度のタイトル陥落とリターンマッチの負けで引退する選手も潔くて本当に素晴らしいが、負けても負けても戦い続ける生き方もいい。

エンドロールで実際にこの主人公の戦績を遙かに越えた負け数の選手が幾人か紹介されていた。そこにスポットライトを当てた映画を初めて観た。ただただ感動!!

ところで、主人公の奧さんはこの映画の音楽も担当したミュージシャンとのこと。かっこいい。普段は買わないパンフレット入手して知ることができた。😊
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