バス行っちゃった

負け犬の美学のバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

負け犬の美学(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

テーマがテーマだけに、普通のボクシング映画であれば試合の見応えさえあればある程度の面白さみたいなものは保証されるのだけど、この話の試合はことごとくつまらなく見えるように作られていて、なんだか挑戦的。

ただ、この意味ありげなカメラの角度はこのシーンで必要なのだろうかとか、まだ話が終わってないのに実在の「負け犬」たちの映像が流れてくるのも意図はわかるけどちょっとテーマを説明しすぎている感じがしてノイズになるしと、語り口が個人的に好きになれなかった。

ボクシングの素質がないとしても、まわりに嘘をつきまくって、あるかないかわからない娘の素質を建前としてでっち上げてでもボクシングをしていたいという執念は物語の主人公としての素質を備えたものだとは思うのだけれども、その行為による犠牲が実は何もなく、負け犬というのとは少し遠い、帰るべき場所がちゃんとある男の話になってしまっているので、本人の人生を考えれば喜ぶべきことではあるのだけれども、残酷な観客としては最後の試合がどこか生温いものに見えてしまったというのはちょっとあって。

でもそれは、居場所を持ってしまったからこそ花開かなかったのだという、孤独にギャンブルを続けていたチャレンジャーとは対照的なのだという酷の表現だったのかもと思うと無碍にもできず、みたいな。