Aya

ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へのAyaのレビュー・感想・評価

3.8
#twcn

この映画を見た後、日々のアレソレをほっぽり出して海に潜り、藻屑となって消えたくなりましたね。

めちゃくちゃ死を感じる映画です。

色々、問題のあったリュック・ベッソン監督作品「グラン・ブルー」のモデルとなった、ってかジャック・マイヨールがいたからこの映画ができたというか、すでにリュック・ベッソンと一体化していたというか・・・とにかくジャック・マイヨールの自伝的ドキュメンタリーなのですが

この映画、めっちゃいいよね・・・。

淡々と記録のみをつなぎ、海に潜る魅力を存分に見せてくれるし、それと現代の自然との結びついてなさすぎる部分にもさらっと触れ、リスペクトを持ってジャック・マイヨールという一人の人間性にスポットライトを当ててて、押しつけがましくないし。

OPとEDが同じなんですけど、彼が100mの素潜りをするところ。
めちゃくちゃすごいことなのに、なんか自然の導きにも感じられるあのダイブの映像、超良かった。

特に凝ったドキュメンタリーになっておらず、一定距離感をもって事実のみを伝えようとしている編集が全体的に好きです。

なんか重力のまま人が落ちていくのってあんな感じかな、とかヤバいこと考えてしまう感じ。

「自殺した伝説のフリーダイバー」みたいな言い方をよく耳にしますが、こんな無理しまくって74歳まで生きたなら十分では・・・。
自殺に年齢は関係ないですが。

「グラン・ブルー」でジャック・マイヨールを演じたジャン・マルク・バレやライバルとされたエンゾ・マイオルカのインタビューが非常に印象的。
2人ともジャック・マイヨールという人間を尊敬し、諦めてもいる。
(エンゾさん2016年に亡くなってるので、インタビュー撮っといてよかったねほんと)

それは家族も同じで、離婚で離れ離れになった子供たちも少し距離を感じていて、その距離ともジャック・マイヨールともうまく付き合えなかったんだろうな、って記憶が語られるの空虚でよかった。

イルカやサメと泳ぐジャック・マイヨール。
その光景は自然と人間の調和を思わせるものの、超珍しいとされているイルカのカップルの間に入ってるとことか「邪魔やん」と思ったり、アニメでしか見ないようなイルカのひれをつかんで一緒に泳いでるとことか、それ、イルカ重いやん、とか思ったり、結構複雑になりますね。

いろんなフリーダイバーの人が出てくるんですけど、それぞれが人生のある地点から海や魚(自然)と自身との関係性というものを、考え、構築し今に至る、みたいなのめっちゃ興味深かった。
考えたことないもん自然との関係性なんて。

とにかく海の映像とダイビングをする人々、おさかなたちはみんな美しい。
それも技術が進化したから見れるんだよなあ・・・、私なんて一生ダイビングとは無縁だし、カメラや彼らがいなかったら一生見ることのできない光景を見せてもらってるんだ今って思うと、自分もそこに誘われたくなりました。

そしてあんな深い海の中で海が好きな人が死ねたらなんて理想的なんでしょう、と思うとジャック・マイヨールの首つりという自殺方法が不自然に思えてならない。

あと、さらっと「小磯に1月くらい置き去りにされた」とか言ってるコーチの人いたけど、それ事件だよ!って思った。


日本語字幕:アップリンク配給作品てクレジットないこと多いよね・・・
Aya

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