このレビューはネタバレを含みます
田園は美しく、営みは尊く、人の心は時に醜く
日々こなさねばならない作業があることの救い
息子や夫の帰りをただ待つだけの毎日なら、早晩正気ではいられなくなる
守りたかったのは土地や生業を含めた家族という形だった
ゆえに、寄る辺なき娘は弱者となり容易に弾き出されてしまうのだが、それはなにも戦時下に限ったことではなく、いつの時代も家族という防護壁を持たない者は誰より強くあらねば生きてはいけないのが現実なのだ
風景と労働する人々とが一体となった様子は非常に美しく、まったく見飽きなかったのだが、男手のない農家の婦人たちにしてはずいぶん綺麗な指をしていたのが少々気になった