にへー

足にさわった女のにへーのレビュー・感想・評価

足にさわった女(1960年製作の映画)
3.2
大阪から東京に向かう特急列車の中に女スリ師塩沢さや(京マチ子)が故郷へ向かう為に乗っていた。そこに偶然乗っていたのが前からさやを追っている刑事北平八郎(ハナ肇)だった。

京マチ子主演、増村保造監督、和田夏十・市川崑脚本という事で期待して見たけど、ちょっとパッとしない出来に感じた。

オープニングクレジットの重々しい音楽から嫌な予感がしていたのだけど、どうも物語の足取りが予想よりも、かなりゆったりとしている。
勝手に軽やかなスラップスティック・コメディを予想していたので、どうも乗り切れなかった。

列車内だけで進行する物語の前半なんで、もっとテンポ良く描けば面白くなったんじゃないかと思う。

雑誌ユリイカの京マチ子特集を見ると、増村監督は「京マチ子の真面目で誠実な姿には、ただ感服するより外はない」と言い「しかし、彼女の短所は実にこの誠実さにある」とも言っている。
確かに、この映画でも京マチ子は誠実さは出ているし、そこを突き破る内なる心の"火"は残念ながらハッキリとは見られない(後半は、若干それを感じられる気もするけど)。

けど、もっと違うやり方でこの映画は描かれた方が良かったのではないか?
増村監督と市川脚本の相性が悪かったという事か。

京マチ子とコメディの相性の良さは、市川監督の「穴」や時代劇コメディ「濡れ髪牡丹」でも証明されてるだけに、この映画は勿体ないと思ってしまう。
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