しろくま君

詩人の恋のしろくま君のネタバレレビュー・内容・結末

詩人の恋(2017年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

勝手に子供産んでんじゃねえ!!!くそが!!!って最後叫んだけど詩人の涙で「愛だよ……お前はゴミ人間だけど……」ってなりました。

最初の方詩人ゴミ人間すぎだな……挽回できないだろ……と思ったけど、描写されてないだけで父の介護、政略結婚やお見合いっぽい?(恋愛結婚ではなさそう)っていうのが垣間見えて、詩人自身もこの場所から離れられない人なのが伝わった。

ただ、セユンに対しての愛が同情ではないとわかるのが、セユンの家庭事情を知る前に、彼が放った言葉に詩人が恋をしたからだ。それがなかったら同情だと思われても仕方ないけど、あの瞬間が恋だった。美しい。

セユンからドーナツプレゼントしてもらった時甘酸っぱすぎてよかった。

セユンめっちゃ表情良すぎて、大人びて見える時もあるし、子供に見える時もあって、だからこそ何考えてるのか、それが本心なのか、わかりやすいようでわかりづらくてよかった。

詩人の一方的な恋だと思ってたし、セユンの感情も恋ではなく頼りがいのあるおじさんだと思ってたから、後半でセユンと嫁が対峙した時セユンが「僕だって欲しい」と言った時、勝ちじゃん!!!両想いじゃん!!!ってガッツポーズした。途中で詩人冷たくなって「弄ぶなよ!」って言ったところもお?って思ったけど確信は出来なかった。

何がいいって、一見セユンはちょっとおばかな子供なのに、詩人との悲しみがリンクして、綺麗な言葉を紡げるところ。

なのに嫁が!!!妊娠なんてしてるから!!!これは別に妊娠が悪いって言ってる訳じゃなくて、嫁が一方的に子供産みたいって思ってるだけで詩人が少しも思ってないことが問題だから。こいつがどうしようもない人間だから責任逃れに見えるけど、済州島という狭い島で普通に結婚して子供を何人か授かる普通の当たり前を詩人に押付けてるだけで、詩人は拒否してるのに勝手に嫁が盛り上がって詩人の人生くそにしました。

セユンは幼い子供だから、家族が欲しいのに、産まれてくる罪のない子供のために諦めるの泣けるから。詩人がやっと一緒に行こうって嘘偽りなく着飾らない言葉で言って嬉しかったのにね(号泣)

そして再会したあと、セユンに3000万ウォンあげたら、今度はセユンが一緒に行こうって言うの泣けるし、詩人が僕が君と行くわけないだろって、セユンが断った時の言葉言うの泣けるから!同じ言葉を言ったことによって、本当は一緒に行きたいという気持ちが見えるの泣く。セユンずっと思っててくれたの泣ける。

まあセユンと一緒に行けないから女のところ戻るのはくそきもいけどね。誰にも誠意ないじゃん。愛してないのに子供いるから一緒にい続けるのキモすぎ。呪い。

そのあと、自分の子供にキスをして普通の幸せ満喫してるのに、急に涙出てくるの泣ける。あの描写なかったらゴミエンドなのに、あれのおかげで「良い映画……」ってなった。

ストーリーだけじゃなく、詩人の詩がどんどん上手になっていくところや、無駄のなさ、見えていない部分も思い浮かべることが出来る丁寧さが素晴らしい映画だった。

詩人は売れて、セユンはどこかに行けた。けどこれは残念ながらバッドエンドなのだ。詩人は大人になってしまって、これからセユンも大人になる。なのでマイナス1です。

セックスもキスもしない愛が良すぎ。

どこにもいけない2人が、一緒にいられなくてもどこかで繋がってる話。