ヒノモト

大仏⁺のヒノモトのレビュー・感想・評価

大仏⁺(2017年製作の映画)
4.1
JAIHO配信中作品から、『同級生マイナス』のホアン・シンヤオ監督の長編劇映画デビュー作。
 
大仏を制作中の仏像工房に夜間警備員として勤めるツァイプーと友人の廃品回収業者ドゥーツァイが、暇つぶしに社長のチーウェンが乗るベンツの監視カメラに録画された映像を見ると、そこにある映像が映り込んでいるというお話。
 
大変面白かったです。
日常部分がモノクロで、その監視カメラの映像だけがカラーとなっていて、映像自体は走行シーンばかりなんですが、車内の声で浮気が発覚するというのが前半。
その先に見てはいけないものが映っていて、その秘密をどうするかというのが後半の展開です。
 
貧富の差がもたらす、切ない喪失感と皮肉があって、真相には直接触れていないにも関わらず、物語の文脈から感じ取れてしまう節が充分にあって、余計に不憫に感じます。
 
映画的には、ドライブレコーダーの固定映像だからこそ、見える部分と見えない部分のもどかしさと秘匿性を上手く利用して、大胆に映画に取り入れていることが鮮烈で、そこだけがカラーであることも大変効果的。
 
あと、監督がナレーションを担当しているのですが、適度な距離感で物語の運びを上手くサポートしていて、大変観やすいのも良かったです。
 
最後に大オチがあってもよかったとも思いますが、完成した大仏の行方気になりつつも、後を引かれるラスト、これも正解だとも思えました。
 
『同級生マイナス』も時間があったら、観てみようと思います。
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