イライライジャ

大仏⁺のイライライジャのレビュー・感想・評価

大仏⁺(2017年製作の映画)
3.5
仏像工房の夜警として働く男が友人と一緒に社長のドライブレコーダーの録画を見て、浮気現場や女をホテル連れ込む映像にきゃぴきゃぴ楽しんでいたが、ヤバイ現場まで見てしまう。

監督が音声解説のごとく喋り続ける新感覚の映画体験。全編モノクロなのに、ドライブレコーダーだけカラー。一見社長は金も女も名誉も手に入れて彩りのある生活をしているが、実際はギトギトに汚れた嘘まみれの世界。一方、主人公一味は貧困でボロボロの生活を送っているのに、まるで小学生の放課後のようなノスタルジックな友情と青春。
この対比が巧いし、そっちをカラーにしちゃうセンスが光ってる。
監督の語りは正直邪魔なのだが、教えてほしい核心的な部分だけダンマリしやがる。そのおかげで不条理なノワールとしてのエグみが浮き彫りになるのは見事。
全編通してブラックユーモアに包まれており、特に罵り合いしたときにお互い「南無阿弥陀仏」を語尾に付けて悪口相殺するバトルは本気で爆笑した。ギャグ線高い。