映画太郎

怪怪怪怪物!の映画太郎のレビュー・感想・評価

怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)
4.0
本作からイジメや虐待を取り除いたらどうなるだろう?

例えば、「ストレンジャー・シングス」の子供達が、モンスターを捕まえてしまい、もう1匹のモンスターに立ち向かう。

「こいつなんなんだよ、きっと悪魔だよ」
「どうするんだよ、人間を食うんだぞ」
「仲間が助けに来るかも…」
「僕達がこの街を守るんだ」

こんな話があってもおかしくはないし、あったら子供達を応援したくなるだろう。

ここにイジメや虐待要素を加えると一気におぞましくなる。ところが、人間は集団行動において足手まといになりそうな人間を排除して集団を維持するようにできているという説がある。また、イルカの世界にもイジメがある。集団で小魚を突っついて、食べるでもなく小魚が弱ってきたら放置して去っていくという事をする。

いくらおぞましいと言っても、イジメはいけないと言っても、どうにもならないものがあるかもしれないが、イジメを悪だと認識できるなら、イジメがなくなる未来はあるのかもしれない。

大抵のイジメは1対多数で成立する。ドラマ「地獄が呼んでいる」では、死を宣告された人間を3人の魔神が焼き殺す。監督のヨン・サンホは集団リンチの最小人数は3人程度だろうと言っている。偶然にも本作では3人のいじめっ子と1人のいじめられっ子のグループになっている(女の子は別にして)。

本作の虐待シーンを見て思い出した事件がある。1989年(平成元年)に発覚した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」だ。主犯4人の少年が1人の女子高生を監禁して暴行を加え死なせてしまい、コンクリート詰めにして遺棄した。主犯4人の他、3人が暴行に加わり1人が監禁の監視役を務めた。余りにも凶悪な犯罪のため死刑や無期懲役を求める声が相次いだが、主犯格らは服役後に出所している。

果たして、ギデンズ・コーはこの事件を知っていただろうか?

必ずしも楽しい映画じゃないが、ホラー映画としてとてもユニークな存在で興味深い映画だ。
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