Bigs

怪怪怪怪物!のBigsのネタバレレビュー・内容・結末

怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

シッチェス映画祭2018

面白かったなー、凄い映画。

モンスター映画、青春映画といったジャンル映画的な側面もありながら、人間の性質(暴力性)も鋭く抉っていて、色んな意味で面白い映画だった。

アバンタイトルだけでもわかるけど、ベースが凄く地に足ついたオーソドックスな演出だからすぐに映画に入り込めるし、飽きるところがない。でもその上でケレン味の効いたシーンも多くて、そういうのが入るとドキドキするんだよね。"怪物"に初めて遭遇するところ、このシーンは音楽の力もあってかなりワクワクしたなぁ。他に白眉のシーンは、スイカジュースとのカットバックによるバスの惨劇、"怪物"に血をかけるのと仮装して騒ぐところのカットバック、ラストシーン、体育館での先生の顛末、最初の泥棒と責め立てられるシーン(ここは机を叩く音のリズムと数珠が混ざり合って、いじめっ子・主人公・先生の顔が交互に抜かれて、すげー気分悪くなる良いシーンだった。)かな。ちょっと思い出してもたくさんあって、見せ場を作るのが凄く上手いんだなと思う。

暴力性に関しては、主人公が老人たちに、いじめっ子と同じように暴力を振るうことを楽しんでいて、被害者にも加害者にも転じうるということが描かれてた。あと、酷い暴力を受けていた筈なのに、新たな暴力行為に"仲間"として受け入れられると暴力を振るう側に回ってしまったり。人間の普遍的な暴力性やその構造がエンタメの枠内でしっかり描かれていたなあと思います。

「My way」が素晴らしく良い使われ方だった。

タイトルの出方も良かった。「怪怪怪怪物」のフォントが出たと思ったら、血のような文字が上書きされる。

一つだけ不満を言うと、あんまりはっきり見せないシーンが終盤増えてきたかなというところ。バスであの女の子がどうなるかは見せなくてもいいかなとも思うけど、予備校辺りからちょっと気になりだした。ラストの一番のいじめっ子の彼がどうなるかはしっかり見せるべきところだったんじゃないかなあとも。ドアの隙間から血が流れてくるのも悪くないけど、ちょっと終盤全体的にパンチが弱くなっちゃってるんじゃないかなと思った。
Bigs

Bigs