海老シュウマイ

SUNNY 強い気持ち・強い愛の海老シュウマイのネタバレレビュー・内容・結末

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

リメイクとしての日本向けチューニング、ローカライズが素晴らしすぎでした。

校門への道から色調が変わり、「LA・LA・LA LOVE SONG」の中でのダンスシーンでわちゃわちゃしてるうちに、
あの「異常な」世界に「自然と」引き込まれてしまいました。
ワンクッション置いた切り替えが上手かったと思います。

原作では1986年だった設定から、日本の90年代コギャル世界への再解釈は、記号的なわかりやすさだけでなく、全能感、多幸感を表現するのに最適で、
結果、過去と現代の陰陽が際立っていて効果的だったと思います。

お話の流れやエピソードは原作とほとんど変わらないのに(冒頭の数カットは目覚まし時計、料理が家族ごとに違う、まで全く一緒なぐらい)、
設定を日本のあの時代にしただけで、わかりやすさ、没入度が劇的にアップしたうえに、よりメリハリの効いた物語となっていて素晴らしいのです。

金田一少年のともさかりえや、歌手としての篠原涼子を重ねて、実際の時間経過を感じたり、
私が勝手に懐かしさをブーストさせている面もありますが。


もちろん、そんなわかりやすさやポップさと引き換えに、
記号的なガジェット頼りで薄っぺらいじゃん、とか、広瀬すずがダサく見えないとか、広瀬すずは篠原涼子にならない、とか言えなくもないですが、
そんなこと、あのわちゃわちゃした時代描写に全部飲み込まれてしまう説得力があったように思います。
小池栄子が「なんだと?ぶっ殺すぞ!」って言った瞬間にあの時代に戻るパワーがありました。

とはいえ、本作では原作のSUNNYのメンバーを一人削っていたり、池田エライザの件と、大きく変わっている部分もありました。
しかし、削られたメンバーは篠原涼子の役と重複する部分が多かったり、池田エライザは結局、原作でも現代パートが描かれていない人物のため、変える必然もあまりないとも言えます。つまり、改変している部分はリファインとして良かったと思います。

池田エライザはあの時から時間が止まったままっていう解釈でしょうか。


そんな感じで、
原作へのリスペクトを前提に、良いところは残し、日本向けにチューニングしてエンタメ度を増幅した本作は本当に素晴らしい出来だと思います。

原作のシム・ウンギョンさんの素朴さ、ダサさも最高でしたが。