大道幸之丞

SUNNY 強い気持ち・強い愛の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

SUNNY 強い気持ち・強い愛(2018年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

本作は誤解を恐れずに言えば2021年今泉力哉監督作品「あの頃」の女性版である。サブタイトルをつけるとしたら〜私のSWEET 19 BLUES〜だろうか。

ちなみに本作は2011年の韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』の日本リメイク作品。ストーリーも完全に同じでそのせいか、どこか人工的な印象がある。

しかしこの監督はどの作品でも「男性目線での女性」しか描写ができないので、これでもかというぐらい薄っぺらなドラマになっている。

この事から逆に元作品は相当面白いのだろうと思ってしまうので、近々に視るつもりだ。

安室奈美恵を頂点とした1990年代の絢爛たるJ-POP全盛の東京で、当時のコギャル、仲の良かった同級生グループ「SUNNY」の一人がガンで余命1ヶ月であると知る。そこで当時の仲間を集めようと奔走するストーリー。

気になったのは高校時代と現代の役のキャスティング。

主人公奈美(篠原涼子)の高校時代が広瀬すずでは無理がありすぎる。顔の骨格が全然違う。はじめから「似せよう」とのアプローチを棄てているようにさえ感じる。

ただ、しかし奈美は田舎からの転向生で皆からのいじめられ役。「ブス!」「イナカモノ!」と罵られることになるこの役は広瀬すずクラスを充てなければ見ていられないのも確かだ。

バックに流れる曲はすべて1990年代のJ-POPヒットばかりで、コギャルが群れをなして踊る姿なども大根仁がいかにも好きそうな構図と演出ばかりだ。しかし学校を描くのであれば「生徒全員がコギャル」なはずもないので、「これは映画だから」と自分を納得させながら観る努力も必要だ。

ラストで高校時代と現在のSUNNYが一緒に踊るアイディアは良かった。「ありがちなストーリー」と言ってもしまえるが、見る前に予想できていた作品を観る楽しさもまたあると思う。

本作は過去の記憶と現代を行き来する構成なのだが、それはどこか遠く夢の世界での行き来のようにも思えてしまう。

自分たちの時代が、誰よりも人生で最も輝かしい季節になることなど当時は思いもしなかったのに。しかし誰の人生でも必ずそういった輝かしい季節があるものなのだろうと思わせてくれる。