shu

リズと青い鳥のshuのネタバレレビュー・内容・結末

リズと青い鳥(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

何よりも印象的なのは音の美しさ。
コツコツとリズミカルな足音、勢いよく角を曲がる際にキュッと擦れる靴音、風でスカートが微かに揺れる衣擦れの音、それら環境音の合間に置くように配置される、キラキラとした陽光のようなピアノの音色。
開始五分で耳が幸せになる。
しかし音の多幸感とは対極的に、物語を追うにつれて、胸は強く締め付けられる。
対等でない友情。信頼、感謝と強すぎる憧れ。それから幾らかの劣等感。
いつ自分の元を離れてしまうとも知れない友を、ずっと鳥籠に閉じ込めておきたいという執着心。
強過ぎる想いがすれ違いを生み、互いに想い合っていながら微妙に交わらない。
「希美の全部が好き」と言うみぞれ。
「みぞれのオーボエが好き」と言う希美。
人として愛されたいみぞれ。
フルートの技術を認められたい希美。
本当はどちらがリズだったのか?
互いの気持ちを告白するシーンは、酷く残酷なものとして目に映った。
飛行機雲が画面を二つに分かち、二人はそれぞれの道を歩き出す。
どちらを閉じ込めていた鳥籠ももう存在しない。
すれ違いを割り切った(ことにした)上で、緩やかに関係を続けていく二人。
希美が繰り返し口にしたようなハッピーエンドだったろうか。
優しいほろ苦さが残る。
そりゃあ口に出して言いたくなるわけだ。
ハッピー・アイスクリーム。
shu

shu