豚肉丸

リズと青い鳥の豚肉丸のレビュー・感想・評価

リズと青い鳥(2018年製作の映画)
5.0
親友同士の少女二人はコンクール曲を練習するも、どうも心がすれ違ってしまい、そのすれ違いは取り戻しのつかない亀裂を生み出して......というお話

何度見返しても最高と言うしかない。
登校から始まり下校で終わる物語は全て学校内で話が完結しており、それも音楽室と生物学室と限られた空間の中で話は進んでいく。「第三楽章の練習」という本題が不和を生じさせた辺りから「音大進学」というサブプロットが挟まり、ほれにより二人の対立が決定的なものになる......が、みぞれは終始希美を求め続けている。決して解消できない蟠りがあるにも関わらずそれが表面に現れず裏側で進んでいく様が恐ろしく、第三楽章の演奏という形で今まで二人の中に覆い隠されていた色々な物を露わにする物語の構造がとにかく見事。二人の不揃いな掛け合いが始まる場面で『リズと青い鳥』とタイトルバックが表示される演出がまさに本作を象徴しており、一瞬の顔の表情、視線の動き、映像と映像の間、と不和を演出する映像表現が至る所に見られて面白い。物語の流れと登場人物の複雑な心情の揺れ動きが、見事映像と噛み合わさっている。
教室の配置と登場人物の配置を見せる俯瞰ショットと顔のアップのショット、そして主観視点と客観と主観を交互に行き来することで言葉を介さずとも心情を映像で描いており、それは最後の対話シーンでも効いてくる。唯一の言葉と言葉で心情を交わす場面は決して言葉だけには頼らず、視線と指の動きで言葉に隠された心情を表す演出がただもう素晴らしい。

何度見返しても大傑作。改めて久しぶりに見返したけど、やっぱり人生の中で1番大好きです...本当に最高だった!
豚肉丸

豚肉丸