高橋早苗

さすらいのレコード・コレクター 10セントの宝物の高橋早苗のレビュー・感想・評価

4.3
ロックもヒップ・ポップも
彼にはノーサンキュー
「がん」とまで言い切り
ジャズさえ 「今のはジャズじゃない」とバッサリ♬


彼の“お目当て”は
1920年代 レコードが出回り始めた頃のアメリカン・ミュージック
「ブルース」にカテゴライズされる音

ただし 彼が求めるのは
そこらのショップじゃ まずお耳にかかれないものばかり
「大恐慌か戦争が 消した」という
個性溢れる“本物”


地図にも載らない道を 愛車を走らせ
自身の 鼻と目と耳で探し出す



自宅をラジオ局に 好きな曲を流し
お役人が登場しても 意に介さず
(…彼らが真面目くさった顔で言ったのだろう台詞がサイコー♪^_^)



『人の意見は気にしない
 こっちは本物だぞ』
…彼の そう言い切る笑顔には
隣の椅子の上で 気持ちよさげに眠る猫みたいに
気負いもなければ虚栄もない
ただやり切るぞ。だけ



家族がインタビューに答えて言う
「最近になって このコレクションこそがアメリカ史だってわかったわ」
・・・家族にすら 理解など不能なわけよね
ン十年続けて 誰かが映画撮りにやってくるまでになって
こんな台詞が出るわけですから^_^


原題の「DESPELATE MAN BLUES」は
…何者でもなく彼、ジョー・バザード自身のブルースなのね。
高橋早苗

高橋早苗