ShinMakita

鍵のShinMakitaのレビュー・感想・評価

(1959年製作の映画)
3.1
京都。著名な古美術鑑定家・剣持は、足繁く大学病院に通っている。インターン・木村の診察を秘密裏に受け、老衰に効く注射を受けているのだ。木村は剣持の娘・敏子の彼氏で、口も固く信用できる男だ。ある夜、木村が剣持宅を訪れた時、剣持の妻・郁子が酔って風呂場で貧血を起こしてしまった。次の日、郁子がまだ臥せっているから診察にきてくれと剣持から電話を受けた木村。しかし行ってみると、郁子は元気そうだ。その夜も酒席となり、またもや郁子が風呂場で気を失ってしまった。2晩続けて全裸の郁子を介抱し、しかも剣持がそんな郁子の裸をポラロイドで撮っていることを知った木村は、次第に郁子に惹かれていく…


老人・妻・娘・若い男…危険でスリリングな四角関係を描いた谷崎潤一郎の「鍵」。市川崑監督作品。



窃視がテーマの1つなので、人物配置が画面の隅だったりするカットが多用されています。セリフのテンポも独特で、特に仲代達矢の言い訳がましいとこや突然敬語からタメ語にシフトするとこなど、気味悪くて可笑しいですよね。木村の「故郷のカラスミ」や家政婦ハナの「ほんまにそうどす」のリフレインなんかも最高です。本作が皮肉の効いたブラックコメディとして傑作たらしめているのがラスト15分。これまでの抑えた感じが一転し、京マチ子がめちゃくちゃ元気になるのが特徴。紅茶とサラダのクライマックスにはぶっ飛びました。

性愛映画としては、剣持の性癖がなかなか変態ぶりで楽しいですね。妻の全裸盗撮、ネトラレ願望など、AVのジャンル物のようで先取り感が半端ない。露骨な松尾嘉代版や川島なお美版よりも想像力を刺激してくれますな。
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