昼行灯

鍵の昼行灯のレビュー・感想・評価

(1959年製作の映画)
3.8
4人それぞれの思惑が複雑に絡み合ったサスペンスにハラハラしてたけど、意外なラストに持ってかれた😇おもろかった😇

4人とも全然表情が変わらなくて不気味だなとずっと思ってたんだけど、それはお手伝いのおばあちゃんもまた然りだったんだな~。京マチ子の最期の言葉が「また間違えたのね」なのがいい(それも無表情)。あるいは最初から4人は死んでいたのかもしれない、、
あと婚約者がクローズアップの時にまばたきをめっちゃこらえてて、カメラが引くタイミングでまばたきをしまくるのがちょっと面白い。

おばあちゃんの動機が見えないと警察の人たちは言ってたけど、この不気味な4人の関係に終止符を打ちたかったのかなと思った。看護婦さんに一言こぼしたその言葉が全てだったのかなと。ヤブ医者を呼んだり、農薬と洗い粉を間違えたりずっと前から準備してたのかもしれない。

芸術かわいせつか?みたいなことが説明されてたけど、今日からみて際どいシーンはそこまでなかった。なんなら濡場を汽車の走る様子で換喩してるのがウケたまであった。汽車の連結に加えて蒸気が勢いよく噴射されるのが大写しにされるところとかおもろい。その換喩シーンの始まりが、少し開いた障子から炭が扇状に吹き出すことによってなのが唐突すぎてうける。

あとは影が際立つことで4人の暗い一面が顕になるのがよかった。普段は4人とも自分の欲望をひた隠しにしているから、暗さ=隠れた欲望の表出のように思えた。京マチ子と婚約者が抱擁するシーンなんかほとんどシルエットになって欲望丸出し感がすごい。原作谷崎だし、陰翳礼讃の影響もありそう。
昼行灯

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